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いつか猫になる日まで(5) ページ5

牛乳をぺろりと舐めきって、俺のこと見てた大ちゃんのボトムスに爪をたてる。あーそうだ、俺、猫なんだっけ。えいやっと飛び上がって、腰の辺りに爪をたてて蹴上がる。ひょいっと大ちゃんの肩の上だ。ふふん、さすが猫だね。
「うわっ…お前っ…んだよ」
「にゃあ(ごめんごめん)」
「牛乳もっと?」
「にゃーご(牛乳もういい)」
「牛乳じゃないほうがいいの?」
「にゃ(何か食い物くれ)」
「え…何がいいんだろう…」
大ちゃんは考え込む。
ああ、そうだ。
俺は大ちゃんの肩から飛び上がると冷蔵庫の上へ移動した。
「おーい」
「にゃにゃ」
そうなのだ、猫では冷蔵庫は開けられない。
「俺が言ってること、わかってんの、お前」
「にゃあ」
わかるよ、そりゃ。俺だもん。
「あとは…なんだろう?」
猫として食べられるかどうかってのが問題なんだよな。冷凍庫にストックしてある冷凍ご飯。
俺はトンと床に飛び降りると、冷凍庫のドアにかりかりと爪をたてた。
「…冷凍庫?」
「にゃ」
大ちゃんは、首を捻りながら冷凍庫のドアを開ける。途端に俺は飛び上がって冷凍庫の中に入る。冷てっ!
「おい!」
俺はラップに包んで小分けに冷凍してあるご飯をとんとんと脚で踏む。
「何?あ、ご飯だ。いのちゃんマメだなあ…お前、ご飯食べられるの?」
「にゃ」
多分ね。
「いのちゃんがお世話してたならご飯ぐらい食べそうだな…よし、ちょっと待ってな」
大ちゃんは冷凍ご飯をひとつ取り出すと電子レンジに入れてチンしてくれた。
「熱っ!猫って熱いのダメだよなあ」
「にゃ」
うん、多分。
大ちゃんは解凍されほかほかに湯気をたてているご飯を皿に出し…いい匂い…猫の嗅覚もなかなかすごいんだな…ダイニングのテーブルにその皿を置くと、トントンと自分の腿を叩いた。
「ここおいで」
と行儀よく床に座って待っていた俺を見る。
ひょいと大ちゃんの腿の上に飛び乗った俺は大ちゃんの顔を見上げた。
「熱いと大変だからな…まってろよ」
そう言って自分の手のひらに熱っ!と言いながらご飯をちょっとだけ乗せ、ふうふうと冷ましてから俺の顔の前に手を差し出した。
「どうぞ」
にこ、と笑った顔に感動する。やっぱり大ちゃんはすごい。

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ひなた(プロフ) - はじめまして。コメントお邪魔します。お話がそろそろ終わりに近づいてきたようで早く結末が読みたい反面、まだずっと読んでいたい、そんな葛藤と戦ってます。すてきなやぶいのありがとうございます。これからも楽しみにしています! (2017年5月6日 0時) (レス) id: 85d71dbfbe (このIDを非表示/違反報告)
浩鈴(プロフ) - Kさん» こんにちは!コメントありがとうございます(*^^*) GW中はコンスタントに更新出来ると思いますのでよろしくおねがいします。 (2017年5月2日 11時) (レス) id: 7e4fbd94f2 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - 以前一度コメントを残した者です^^更新分を仕事の前に読んでしまって、引き込まれすぎて「あぁ、、どうしよう( ; _ ; )」という気持ちになってしまいました笑 続きも楽しみに待っています^^ (2017年5月2日 10時) (レス) id: f654da7d4d (このIDを非表示/違反報告)
浩鈴(プロフ) - ゆうみさん» はじめまして!ありがとうございます。 コメント励みになります(*^^*) 半分は越えた…かな?まだまだ続きますのでよろしくお願いします! (2017年4月30日 14時) (レス) id: 7e4fbd94f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ - 物語に引き込まれるようにどんどん読み進められます。とても面白いです!更新頑張ってください! (2017年4月30日 14時) (レス) id: c3179f3c1c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:浩鈴 | 作成日時:2017年4月13日 0時

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