嫌われ者。5【青葉城西】 (ページ18)

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京「春高は出ねぇのかよ？」

それから京谷さんは私にそう聞いてきた。

『多分』

私は笑ってそう言った。

そう答えるしかなかった。

京「…そうかよ」

京谷さんは、一瞬私の目を見たあと、視線を逸らして興味なさげにまたハミチキを頬張り始めた。

『見たかったなぁ…春高』

だから私も何となくボソッと呟いていた。

それは紛れもなく誰にも言えなかった本音。

今なら別に言っても許させる気がして。

京谷さんが一瞬意外そうに、私を見返した。

けどすぐに視線は前に戻る。

京「簡単に諦めてんなや」

そしてなんでもないようにそう言った。

『…』

簡単に…か。

私は少し口角を上げるだけで、何も言わなかった。

今まで散々バレーに縋ってきた。

そんなバレーから離れて、ぽっかり空いた空虚な心には未だに何も埋まらない。

結局、毎日毎日バレーの事を考えている自分がいる。

なのに、

バレーから離れるのが

諦めるのが

簡単なわけがないでしょ

京「…なんか言えや」

『いえ、別に』

私はまた、ヘラッと笑って言った。

京「気持ちわりぃ」

そうすればまたそんなセリフが返ってくる。

その顔はさっきみたいな優しい顔じゃなかった。

分からないとでも言いたけで、私を見透かそうとしているように見えた。

気のせいかもしれないけれど。

だから私はそこから逃げるように立ち上がった。

『じゃぁ、私はお先にしつれ』
京「お前は、」

けど私がその場から逃げるより先に声がかかった。

『…？』

私は半分振り返る。

そうすれば、いつもなら私より高い位置にあるはずの視線が、私を見上げていた。

京「お前はなんで___」

京谷さんがそう話を続けようとした時だった。