嫌われ者。5【青葉城西】 (ページ40)

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自分の部屋のベットの上。

真っ白の天井を見上げた。

気持ちが軽かった。

泣いたからかな。

いや、違うか。

『好きだから…か。』

はじめて人に好きだと言われた。

嬉しかった。

でも、分からない。

あんなに私は嫌な事ばかり言ったのに。

どこを好きでいてくれるのか。

なんで好きでいてくれるのか。

分からない。

好きだと言ってくれた。

助けてくれると言ってくれた。

大丈夫だと言ってくれた。

私はいつも、英くんからもらってばかりでなにも返せない。

好きでいてもらえる自信なんてこれっぽっちもない。

『変わりたい…

変わらなきゃいけない…』

私は今でも、自分のことが嫌いだ。

弱い自分が嫌いだ。

逃げてばかりで意気地なしの自分が嫌いだ。

だから変わりたい。

もっと自信を持てるように。

英くんに、私も好きだと言えるように。

だって、英くんが好きだと言ってくれた自分の事なら
少しだけ好きになれそうな気がするから。

もらってばかりじゃダメなんだ。

静かな家の中に、物音がした。

義母さんと弟が帰ってきたらしい。

私はベットから降りて部屋を出た。

いつもなら、聞こえてないふりをするけど。

嫌われ者の私なんかって、言い訳して逃げるけど。

変わらなきゃいけないから。

リビングに行けば、帰ってきたばかりの2人が居た。

「ねぇねっ！」

いつも部屋に篭っているせいか、2人とも少し不思議な顔をした。

『義母さん、蓮くん』

「Aちゃん…」

もしかしたら返事をしてもらえないかもしれない。

無視されるかもしれない。

それでも変わろうとしなきゃ変われない。

『おかえりなさい、夕ご飯一緒に食べてもいいかな？』