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『…ふぅ』
ここに来てフルセットか…
青城にとってはインハイ予選始まって、初めてフルで戦う試合だ。
選手達にも少しずつ疲労が見て取れるようになってきた。
影山くんのセット、菅原さんと変わってから明らかに変わった。
11番のセンター攻撃が増えて、スパイカーとコミュニケーションを取ろうとしている場面も見受けられる。
それに最後の及川さんと岩泉さんの攻撃を完全に読み切った。
この試合の中で、今までの独裁的なプレーから少しずつ変化している。
『すごいなぁ…』
やっぱり持って生まれたものが違う。
私が今もバレーを続けていたとしても、彼の様なプレイヤーには一生かかってもなれない。
才能にはどれだけ努力しても叶わない。
この才能に、ずっと下から迫り続けられる恐怖なんて、正直考えたくもない。
及川さんは天才じゃない。
中学の時、どれだけ下から迫りくる才能に脅かされてきたのだろうか。
なのに何で今も、そんな前を向いてプレーできるのだろうか。
『すごいなぁ…本当に』
思わずそんな声を漏らした。
国「上原…?」
いつのまに隣に立っていたのか、国見くんがドリンクを飲みながら首を傾げる。
『あ、国見くん…お疲れ様。』
国「お疲れ。」
『影山くん…絶好調だねぇ…』
私は烏野側を横目で見ながら言った。
国「俺さ…」
国見くんも烏野側を見ながら口を開いた。
『ん?』
国「俺、中学3年間。影山と同じチームだったはずなのに、あいつが試合中、あんな風に喋ってるとこ初めて見た。」
そう言う国見くんは、少し悲しそうな悔しそうな表情だった。
私は、中学時代のことは詳しく知らない。
きっと国見くんも金田一くんも、影山くんも、必死だったんだろう。
もしどこかで上手く噛み合ってさえあれば、何か違ったのかも知れないなんて。
思っても、変わらないけど。
やっぱり、お互いプレイヤーとして認めるべくは認め合っているんだろう。
だからこそ、悔しいんだろう。
『きっと…青城でプレーしてる国見くんを見て、影山くんも同じこと思ってるよ。』
国「いや、あいつはそう言うタイプじゃないだろ。」
『あはは…』
けど、相変わらず仲はこれから先も悪いままのようだ。
__ピィーッ
試合開始の合図がなる。
私はコートに戻っていく選手達の背中を見送った。
3セット目が始まる。
これが、ファイナルセットだ。
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羅那@オタクちゃん(プロフ) - やばい菅さん推しからしたら148話死にます(^q^) (2023年3月22日 10時) (レス) @page50 id: b06493af76 (このIDを非表示/違反報告)
hiro(プロフ) - 推しの嫁になりたい日向斗さん» 本当だ!?ご指摘ありがとうございます(^^)助かります! (2020年9月4日 21時) (レス) id: e9391e3b89 (このIDを非表示/違反報告)
推しの嫁になりたい日向斗(プロフ) - 105話の最後の文、春高じゃなくてインターハイだと思います!間違えてたらすみません! (2020年9月3日 16時) (レス) id: c282c8b216 (このIDを非表示/違反報告)
hiro(プロフ) - わたぬきくん。さん» 気付いていただけて嬉しいです…(//∇//) (2020年8月30日 20時) (レス) id: e9391e3b89 (このIDを非表示/違反報告)
わたぬきくん。(プロフ) - 114話の国見くんのセリフでオチを確信しました。← (2020年8月30日 13時) (レス) id: 9e97a6dad3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:hiro | 作成日時:2020年7月16日 0時