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しばらく歩いていれば明るい駅が見えてくる。


駅構内まで私を引いたところで、ようやく手が離れた。








『ごめんなさい…』









私は菅原さんを見る勇気なんてなくて、俯いたままもう一度だけそう言った。









菅「…何が?」









前に立つ菅原さんがそう聞き返す。



その声色から感情を伺えるほど、私は菅原さんを知らない。






『せっかく…楽しかったのに…私のせいで…』







私はまだ震える声でそう言った。







楽しかったのに。








きっとそう1番思っていたのは自分だ。




菅「…」




菅原さんは何も言い返さない。


その間が怖かった。





『ごめん…なさい…』






だから逃げるように、もう一度謝る。




顔も見ないで。







菅「…」



『じゃぁ、私はこれで…送っていただいてありがとうございました…』




無言のままの菅原さんに背を向けた。


早くこの場を去りたいと思った。



逃げたいと思った。





この先、菅原さんと気まずいままだとしても。









菅「上原ちゃん」



でもそんな思いとは裏腹に私の背中に声がかかった。



『…?なんですか?』



私はもう一度振り向く。


視線をあげる。



でも、目は合わなかった。




今度は菅原さんが俯いてたからだ。





菅「さっき俺が言ったこと…」



菅原さんはそこで口を閉じた。



『?』



さっき


その言葉がどれを指しているのか私には分からなかった。





菅「彼氏候補にって話…」


『あぁ…』




そんな話してたっけ。



ずいぶん遠い記憶のようにすら感じる。









「冗談じゃないって言ったらどうする?」









『え…?』



菅原さんは笑って言った。




いつものような無邪気な笑い方じゃない、もっとずっと大人びた笑い方。




『…』





数秒見つめ合う。




分からない。



菅原さんのその言葉の真意が。



冗談だと笑う事も、真剣に返事をするのも躊躇われた。




言葉が詰まる。




自分が困った顔をしているのは容易に想像できた。



その顔を見てか、菅原さんはもう一度口角を上げた。









菅「これでおあいこだべ。」









最後に菅原さんはそう言って小さくはにかんだ。




そしてそのまま背を向けて、遠のいて行く。








その背中を見えなくなるまで私はずっと見つめていた。

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作品ジャンル:アニメ
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羅那@オタクちゃん(プロフ) - やばい菅さん推しからしたら148話死にます(^q^) (2023年3月22日 10時) (レス) @page50 id: b06493af76 (このIDを非表示/違反報告)
hiro(プロフ) - 推しの嫁になりたい日向斗さん» 本当だ!?ご指摘ありがとうございます(^^)助かります! (2020年9月4日 21時) (レス) id: e9391e3b89 (このIDを非表示/違反報告)
推しの嫁になりたい日向斗(プロフ) - 105話の最後の文、春高じゃなくてインターハイだと思います!間違えてたらすみません! (2020年9月3日 16時) (レス) id: c282c8b216 (このIDを非表示/違反報告)
hiro(プロフ) - わたぬきくん。さん» 気付いていただけて嬉しいです…(//∇//) (2020年8月30日 20時) (レス) id: e9391e3b89 (このIDを非表示/違反報告)
わたぬきくん。(プロフ) - 114話の国見くんのセリフでオチを確信しました。← (2020年8月30日 13時) (レス) id: 9e97a6dad3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:hiro | 作成日時:2020年7月16日 0時

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