嫌われ者。3【青葉城西】

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『いかないでっ』









気付いたら私は暗闇の中手を伸ばして、菅原さんの袖を引いていた。


菅「えっ…」






『お願い…』






震える声。




放つ言葉は弱々しくて、自分を惨めにさせた。




そう。自分が酷く惨めだと思ったんだ。




街灯の明かりがまた灯った。


視界に光が戻ってくる。


視界に浮か菅原さんの表情は困った顔だった。





当たり前だ。




こんなの迷惑でしかない。




そう分かってても、動かない体が憎い。





菅「上原ちゃん…？」


『…』


菅原さんが私の前に屈んで自分の傘に私を入れる。


傘が雨を弾く音がやたら響いた。




菅「怖い…？」



菅原さんが囁くようにそう聞いてきた。


私は小さく頷く。






菅「もう大丈夫だよ…」



『…ごめっ』


声が出ない。


頬を流れていく雫を菅原さんがそっと拭う。




菅「駅まで送るから…」




菅原さんは何も聞かずにただ、私の手を握って引いた。



『ごめん…なさい…』




私はただ握られたその手に縋ることしが出来なくて、前を歩く菅原さんの顔なんて見れるはずもなかった。


始終無言で駅までの道のりを歩く。







最悪だ。




こんなの。



いつもみたいに笑うこともできないなんて。



弱く惨めな自分が嫌いだ。




凄く嫌いだ。




この手を離して、笑って「大丈夫」って言えない自分が




甘える事しかできない自分が








大嫌いだ。





菅原さんはどんな顔をしてるんだろうか。





呆れてる？困ってる？怒ってる？




ただ、迷惑んかけてる事だけは間違えなくて。




そう思えば思うほど、口からは「ごめんなさい」の6文字しか溢れてこなかった。





菅原さんは、道中何度も謝る私に何も言わなかった。






ただ、手を握って私の手を引く。




それだけで充分だった。

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