嫌われ者。3【青葉城西】

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私はそのまま制服に着替えて鞄をからう。



体育館ではまだ練習している人がいるので、先に部誌を出しに職員室に行って、その後もう一回戻ってこよう。



もう少しで残ってる部員たちの自主練も終わるだろうし。



頭の中でそんな算段をたてる。




松「あ、お疲れ。」


その時ちょうど自主練を終えた松川さんが部室に戻ってきた。



ドアが開く音で、私はパッと笑顔を作る。


『お疲れ様です。』



短パン半袖の松川さんは、額から流れる汗を首にかけたタオルで拭きながら部室に入ってくる。


あと体育館に残ってるのは、及川さんと岩泉さんか…



試合以降3年生は、レギュラー陣、控え陣どちらともやる気に燃えていて、自主練に残る人も増えてきた。


特に及川さんは最近オーバーワーク気味で、毎日のように岩泉さんからドヤされている。



松「今帰り？」


『いえ、職員室に部誌を届けに行こうと思って。
また戻ってきます。

まだ、体育館に残ってる人いますし。』


松「別に、及川達に鍵預けて帰ってもいいよ？

あいつら最近遅くまで残ってるし、女子が1人で帰るには危ない時間でしょ。」






『大丈夫ですよ。』






私は軽く笑ってそう返した。


私にとって、彼女達がいないこの時間は、唯一マネージャーとして自分に意味を見いだせる時間だった。


この時は、自分は必要だと役に立ててると思える。


日に日に分からなくなっていく自分の居場所が、「まだ」あることを確認できる時間。









それまで奪われるなんてごめんだ。

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