嫌われ者。3【青葉城西】

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国「A！」



その声と同時に私の手首から男の人の手が離れた。


目の前にはよく知った背中。




それはまるでヒーローのようだと思った。





「…は？」


『国見くん…』



国「Aに何してるんですか？」



いつもよりちょっとだけ低い声。


その声に呼ばれた名前は聞き慣れなくて少しくすぐったい。


私は、守るように国見くんの背中に隠される。



助かった…



ホッとして恐怖から解放されると、今度は頬が急激に温度をあげ出した。



「んだよ、男と来てんのかよ…」



男の人はそう苦言を漏らして、それ以上食い下がるわけでもなく席に戻っていく。



私は背中越しにその光景を見ていた。




国「ちょっと離れよっか。」


国見くんは、そう言って私の手を引いた。


私は引かれるままに足を進める。


国見くんに引かれる手が、軽々と私の心拍数を上げていく。


さっき手を掴まれた時は恐怖しかなかったのに、人が違えばこうも変わるのか…



なんて、冷静を装って心の中で思ってみる。

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