127 ページ29
国「楽しそうだね。」
その時ちょうど、お手洗いに行っていた国見くんが席に戻ってきた。
笑いあっている私たちを見て物珍しそうな顔をしている。
『あ、お帰り。国見くん。』
国見くんがまた、金田一くんの隣に腰を下ろす。
国「何の話?」
金「別にたいした話じゃねぇよ。」
それでも、可笑しくて、私たちの顔はにやけたまんまだ。
国「…なに?」
その状況を見て国見くんは不思議そうな表情を浮かべた。
『ほんとなんでもないよ!それより、早く頼もっ!
なに頼むか決まった?』
国「あ、いや、まだ。」
金「俺、ハンバーグ&ステーキのAセット、ライス。」
国「あー、じゃぁ俺はチーズインハンバーグにする。」
『よし。じゃぁ定員さん呼ぶね!』
そう言って呼び鈴を鳴らせば、すぐに店員さんが注文を取りに来た。
それぞれが自分の注文をする。
私がカルボナーラを頼めば、2人から「それだけ?」といわれた。
中学生時代ならまだしも、生憎今は流石に高校生男子と同じ量は食べれないし、太る。
「食べても太らない」は、スポーツを辞めた今は通用しない。
そんな中、2人はしっかりセット付きで頼んでいて、国見くんに至っては食後にデザートまで頼んでいた。
そして、注文を終えてしばらく待っていれば、暖かいご飯が目の前に運ばれてくる。
2人は目の前のご飯をただ無言でかきこむ。
試合で使い切ったエネルギーを補給するように。
さっきまで笑っていた2人の目には悔しさが写っていた。
表に出さないだけで、やっぱり悔しいよね。
なんて、そんな2人を見て思った。
負け試合の後に食べるご飯って、どんなものでも凄く美味しく感じるものだ。
多分、勝った時より負けた時の方が疲れるから。
悔しい時の方が、ご飯の美味しさとか幸福感とかが染みる。
それが余計に自分を悔しい気持ちにさせるんだ。
それは私にも経験があった。
小学校1年生の時からずっとバレーをやってきて、試合にだって何度も出て、何度も負けてきた。
悔しい思いだって何度もしてきたから、その時の自分が2人に重なって、なんだかおかしかった。
私は自分の料理を静かに口に運ぶ。
美味しい。
けど、やっぱり私にはあの頃ほどの悔しさはもう感じられないみたいだった。
だからその時は、悔しさを顔に滲ませる2人のことを羨ましいと思った。
958人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
羅那@オタクちゃん(プロフ) - やばい菅さん推しからしたら148話死にます(^q^) (2023年3月22日 10時) (レス) @page50 id: b06493af76 (このIDを非表示/違反報告)
hiro(プロフ) - 推しの嫁になりたい日向斗さん» 本当だ!?ご指摘ありがとうございます(^^)助かります! (2020年9月4日 21時) (レス) id: e9391e3b89 (このIDを非表示/違反報告)
推しの嫁になりたい日向斗(プロフ) - 105話の最後の文、春高じゃなくてインターハイだと思います!間違えてたらすみません! (2020年9月3日 16時) (レス) id: c282c8b216 (このIDを非表示/違反報告)
hiro(プロフ) - わたぬきくん。さん» 気付いていただけて嬉しいです…(//∇//) (2020年8月30日 20時) (レス) id: e9391e3b89 (このIDを非表示/違反報告)
わたぬきくん。(プロフ) - 114話の国見くんのセリフでオチを確信しました。← (2020年8月30日 13時) (レス) id: 9e97a6dad3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:hiro | 作成日時:2020年7月16日 0時