3209.【翔にぃ、ストーカーに悩む】 ページ9
［翔にぃside］
※ストーカー = ス 表記です。
「退院おめでとうごさいます」
ス「ありがとうございます」
「心配なことがあれば、退院後も来てくださいね」
ス「え！？また来ていいんですか！？」
「はは！当たり前ですよ。いつでもどうぞ」
ス「ありがとうございます。翔先生が担当医で
本当によかったです」
「そんな風に言って頂けるなんて、光栄です。本当に
おめでとうございます」
長い闘病生活の末、こうやって元気になって退院を
迎えてくれることは本当に嬉しい。
時間さえ合えば、看護師と共に病院の出口まで
見送りに行くことも多い。
この日も患者さんの退院を見届けて、嬉しい気持ちで
いっぱいだった。
まさか…
ス「翔先生！今日も来ちゃいました！」
「…」
こんな風にストーカー行為をされるとは、思っても
いなかった。
毎日のように外来にきては「体調のことで相談が
ある」って、俺を指名してくる。
もちろん、担当医だったから応えるのが当たり前
なんだけど…
ス「今度、外で会いませんか！？」
「…先日、お断りしましたよね？」
ス「どうしても駄目ですか！？」
病気とは関係ないことばかりで気が滅入る…
『LINEを交換したいです』
『今度、家に遊びに行きたいな〜』
『一緒に旅行に行きませんか！？』
断っても、断っても…
ス「あ、翔先生の最寄りは〇〇駅なんですね！」
「…」
最寄りの駅で待ち伏せされたり、家の近くの
スーパーやコンビニで話し掛けてきたり。
どんどんエスカレートしていくストーカー行為に
精神的に追い詰められていて…
「これ以上はもう…警察に相談します…」
ス「…分かりました」
家まで特定されては、智にぃや雅紀にまで迷惑が
かかってしまう。
双子に危害を加えられたら…って心配もあったから
相手に忠告して…
それなのに、やっぱり駅まで付けられたから。
警「〇〇さんですね？」
ス「えっ…、翔先生、酷い…酷すぎます…」
「…」
警察に相談して、駅で接触してきたところを
捕まえてもらった。
その場でもう一度『相手にしない』ときっぱり
伝えたら…
『酷い、酷い』と喚かれて『思わせ振りだ』と
叫ばれた。
『こういう気持ちにさせた、あなたが悪い！』
通行人が沢山見ている中で、最後に叫ばれた言葉が
心に突き刺さった…
悪いのは俺だったのか…と。
自分にそんなつもりはなくても、相手のことを
傷つけてしまったのだ…と。
申し訳ない…
ごめんなさい…
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作者名：空
| 作成日時：2020年3月16日 21時
