3242.【4】 ページ42
［翔にぃside］
手術とかは免れたけど
ブロック注射は免れない。
もう痛みで自分で動けないレベルなんだから、納得して
くれると思ったけど、そうでもないらしい。
整「すみません、嫌でもやるしかないんで。笑」
「お願いします…僕と弟で協力するので。笑」
動いたら痛いだろうに「やらない！」「触るな！」の
一点張りで、注射されまいと動く。
このままじゃラクになれないから、可哀想だけど
強行突破でいくしかないと判断。
雅紀に合図を送り…
智「…っ、ばかっ！抑えるなっ…」
雅「ごめんね、智にぃ…」
雅紀は申し訳なさそうに謝ってるけど、肩をギュッと
抑える手は緩めず。
「すぐ終わるから、少し頑張ろう」
智「…っ、ばかっ…」
俺も両腕を体の横で抑えて、そのまま下半身に体重を
かける。
智にぃは涙声で「卑怯だ…」「他人事だと思って…」
って呟いた。
相当怒ってるね…これは。笑
そりゃ、俺も雅紀も無理矢理になんてしたくはないけど。
もうこれしか方法がないわけで…
「こんなになるまで我慢するからでしょ」って
ここまで出かかったけど、言わないでおく。
ここから辛いのは智にぃだからね…
整「始めますね」
「お願いします…」
雅「智にぃ、頑張れ…」
整「いきます…」
腰が消毒され、先生が注射器を構えたのを見て
雅紀と俺は、体を抑えている手に、さらにギュッと
力を込める。
智にぃは針が刺さる直前まで「やるな！」って
叫んでいたけれど…
智「…っ…」
「頑張れ…」
注射針が刺さってからは、痛みで声も出せない感じで…
智「…っ…っ、くっ…」
雅「…痛いね」
全身に力が入って、体がかたくなる程…
相当の痛みがあることが伝わってきて、思わず雅紀も
顔を歪ませる。
智「っ、…っ…んっ…」
「もう少しだよ…」
こりゃ…痛いんだろうな…と。
智「…っ、…っ…、…くっ…」
先生が「もう終わりですよ」って言ってくれるまでの
時間が、すごく長く感じられた。
「頑張ったね…智にぃ…」
智「…っ…」
目もとをそっとタオルで拭いて目を合わせたけど
「もう、やだ…」って睨まれて。
そこからは俺らの声掛けには応答してくれなくて。
注射のお陰で痛みが引いていくから、それまで待つしか
ないかなぁ…と思いながら、智にぃの体にブランケットを
掛けた。
雅紀が傍にいてくれているから、その間に俺は先生と
今後の話をする。
先生の口から「入院ですね」って言葉が出て…
「はぁ…」
思わずため息。笑
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作者名：空
| 作成日時：2020年3月16日 21時
