5人で生きてゆく…part65 (ページ27)

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［先輩side］

耳「こんなになるまで
放置して…外科処置になったら、どうするつもり
なんだよ、まったく」

翔「…っ、すみません…」

今回は、翔くんがあまりにも往生際が悪いから
少し懲らしめてやろうと思って、俺と同期のやつに
依頼した。

自分で言うのもなんだけど、コイツは結構厳しい。

でも、翔くんのことを大事に思ってる気持ちは
俺と同じくらいだと知ってる。笑

だから信頼もしてる。

叱られてすっかりシュン…としてる翔くんだけど
仕方ないよ。笑

レントゲンの写真は副鼻腔炎の重症。

これならほんとに外科処置になるぞってくらい
悪化してる。

こりゃ、治療も辛いし、長期戦だな…

耳「とりあえず軽く吸引して、その後洗浄だな」

「…は、い」

処置室の椅子に座った翔くんの顔は怯えきってる。

これからの処置を想像したら、誰でもこうなるよ。笑

「頑張れ。外科処置になるのは嫌だろ？」

翔「…はい」

耳「じゃあ、右から吸引していくからな」

長い吸引ノズルが目の前に迫ってきて、翔くんは
ギュッと目を閉じた。

耳「力抜いてて…ちょっと辛いけど我慢」

翔「…は、い」

看護師がいないから、代わりに俺が処置のサポート。

軽くおでこを押さえて、頭を椅子の背に付けたままに
なるようにしておく。

翔「…っ、んっ…げほっ…」

耳「力入れ過ぎ…まだまだ序盤だからな？笑」

やっぱコイツ厳しいわ。

翔「…っ、げほっ…んっ…ぐっ…っ、んっ…」

「頑張れ。大丈夫、頑張れてる…」

手前から徐々に奥に進むにつれて、翔くんは
苦しそうな声を漏らして、キツく閉じられた目尻には
薄っすらと涙が滲みはじめた…

今回は少し奥までノズルが入れられているし、緊張と
不安で体に力が入っているから、余計に辛く
感じるんだろうな…と。

翔「…っ、んっ、げほっ…、んっ…や…」

耳「嫌でも続けるよ。危ないから動くなよー」

「頑張れ…」

翔「…げほっ…んっ…っ…ぐっ…」

あまりに辛そうだから、右手でおでこを押さえたまま
左手で肩の辺りをさすってやる。

耳「右側終わるよー」

翔「…っ、んっ…んぐっ…っ…」

ノズルが右の鼻から抜かれたと思ったら「そのまま
押さえてて」って指示が。

耳「逆の鼻やるよー」

翔「…っ、げほっ…待っ…て…」

耳「…笑。待たない」

確かにこの状況なら俺も待たない。笑

患者さんによっては、少し休憩を挟んだ方が
ラクにできる場合もあるけど、今の翔くんには…ね。

手っ取り早く終わらせるに限る。