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［翔にぃside］
こんなことになって…
頭の中にあったのは『申し訳ない』って気持ち。
でも和の『頑張る』って言葉を聞いて、自分がこんな
後ろ向きな気持ちでいたらいけないんだって
気が付いた。
だから…
和「なにこれ…」
「…笑。お粥だろ？笑」
和「味ないもん…おいしくない…」
「お米の味。食べないと駄目」
ぷぃっとそっぽを向いて「食べないもん」って
我儘を言う和にも、いつも通りに接する。
入院の後半になってからは、小腸カメラの検査を
またやらなければいけないことを、きちんと話して…
和「…また、やるの？」
「ん。だって終わってないから。頑張ろう？」
和「んん…」
智「和なら大丈夫。ちゃんと診てもらって、それから
退院しよう？」
和「ん…わかった…」
検査の痛みを鮮明に覚えているだろうから、恐い
気持ちが大きいと思う。
でも今回は、入院中に検査をするから、前回よりも
少し強めの鎮静剤を使える。
もちろん、和が嫌がるから眠らせることは
できないけど…
「少しだけ副作用が出て、終わった後に気持ち悪く
なるかもしれないから、一泊だけ安静にしてよう」
和「…ん、わかっ、た…」
蚊の鳴くような声で呟いた和だけど、きちんと納得
してくれたのが伝わってきたから、大丈夫だろう。
消「偉いね、和くん。頑張ろうね」
和「…ん。たいちゃんだから、頑張る…」
消「…ふふ、ありがとう。先生も頑張るね」
検査当日、和は可愛い笑顔を大好きなたいちゃんに
向けることができた。
和「…ん、ん…まだ、やらない、で…？」
消「ん、分かった。和くんが気持ちの準備できるまで
待つから。大丈夫だよ」
和「…ん」
いよいよ検査ってなったら、さすがに不安そうで
泣きそうな顔をしているけど…
「かず…一緒に深呼吸しよう」
和「…ん」
目を合わせて一緒に呼吸を整えたら「やる」って。
消「じゃあ、カメラ入れていくからね。始めは少し
違和感あるからね…力抜いててね〜…」
和「…っ、ん…んん…ふぅ…っ、んっ！」
大嫌いな違和感と痛みで、出だしからポロポロと
泣いてしまって…
「かず？少し薬追加するからな？」
和「…ん、んくっ…ん」
強めの鎮静剤が前よりは効いてくれた。
和「…んっ、んん！痛い…、や、だ…」
消「痛いね…あと一息。もう9割終わってるよ」
和「…ん、んくっ…がんば、る…」
それでも到底痛みは取りきれなくて、和はとても
辛い思いをしたけれど…
無事に検査を終えることができた。
END
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作者名：空
| 作成日時：2020年3月16日 21時
