5人で生きてゆく…part65 (ページ17)

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［潤side］

歯医者に着いてすぐに
レントゲンを撮って…

歯「始めていくね」

「…はい」

虫歯を放置したことを叱られるかなって思ったけど
それはなかった。

いつも通りにレントゲンを見せてくれながら優しく
説明してくれて…

始まった治療。

歯「ごめんね、痛いと思うけど、もう少しだけ
口開けようか」

「…っ、…は、い…」

奥歯の治療だから、いつも以上に大きく口を
開けないといけないんだけど、腫れているせいで
痛くて…

歯「少し手伝うよ～？」

「…っ、いっ、…痛い…」

歯「痛いよね、ごめんね」

助「ごめんね、我慢してね～…」

先生に指で開かれて痛くって、体にもグッと
力が入ってしまう…

でもされるがまま…我慢するしかない。

助「顔にタオル掛けておこうね～」

「…」

歯科助手さんにタオルを掛けられ…

歯「麻酔の注射していくね～」

「…」

どんどん進んでいく治療。

歯が痛いからなのか、麻酔の注射は痛くなかったから
少し安心していたけれど…

歯「膿が溜まってるから先に少し出しちゃうね」

助「ちょっと歯茎押されるよ～…」

「…っ、んっ…いた、い…」

先生が歯茎を指でギューっと押し始めたら、頭の
奥に響くような痛みが襲ってきて…

歯「口閉じないで、ちょっと我慢しよう」

助「顔動かさないでね～…」

「ん…んん…い、たい…」

口を大きく開けられて固定されているのも痛いし、
先生の指が歯茎を押すのも痛い…

動いては駄目だと分かっていても、痛みから
逃げようとしてしまう。

歯「一旦休憩…口、楽にしてていいからね」

「…は、い…」

助「タオルも一回とろうね」

顔に掛けられたタオルを外されたけど、目を開ける
気力もなくて、ぐたっとしてた…

雅「じゅーん…痛かったの？」

「えっ…まさ、にぃ…？」

雅「んふふ、そうだよ。…よしよし」

急に頭を撫でられて…

聞き慣れた声。

雅にぃが診察室にきてくれた…

「…きても、いいの？」

雅「ん、先生がね、呼んでくれたの。潤がすっごく
頑張ってるから、傍にいてあげて下さいって」

「…ん」

雅「痛いの頑張ってるんだって？」

「…ん、すごく…笑」

雅「偉い、えらい。治してもらって、美味しいランチ
食べようね」

「…ん」

雅にぃは何度も頭を撫でてくれて「なに食べたいか
考えておいてね」って優しく笑う。

「…ん、考える。治療…がんば、る…」

雅「ん、ここにいるからね」

雅にぃのニカッとした明るい笑顔に、恐怖心が少し
減った気がした。