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［翔にぃside］
先「顔色悪くないか？」
「…すみません、ちょっと立ち眩みが…」
医局で少し休憩して、立とうと思ったらフラついた。
すぐに傍にきてくれた先輩に申し訳なさを感じながら
素直に話して、体を支えてもらって。
でも、このままだと脈をとられたりしてしまう。
リストバンド外されて…バレちゃう。
どうしようかとドキドキしていたら、タイミングよく
先輩が呼び出されて…
先「無理するなよ？俺から連絡入れておくから、少し
休んでからいけ」
「…ありがとうございます」
優しさが心に滲みる…
先輩が呼び出されて『助かった』と一瞬でも思って
しまった自分が嫌になる。
「自分のことしか考えてないじゃんか…」
一人呟いた声が虚しく返ってきて…
そう、結局俺は自分のことしか考えてないんだ…と。
そしたらまた胸がギューっと苦しくなって…
「…っ、いっ…」
トイレの個室で手首を切りつける。
自傷行為がエスカレートして、家だけじゃ気が
済まなくなって、最近はこうして職場でも。
もう少し深く切ったら、いなくなれるのかな…
そんなことが頭を過ぎることもある。
先輩にも智にぃにも心配かけて、情けないや…
いなくなりたい…
［先輩side］
翔くんのことが気になったけど、問い詰めたら
逆効果だと思ったし、なにより呼び出されて
しまっては仕方がない。
あのまま会うことなく退勤の時間になってしまって
少し残業してから車に乗り込んだ。
翔くんは定時で帰ったみたい。
看護師に様子を聞いたけど「少し顔色悪かったけど
いつも通りに外来こなしていました」と。
家に帰ったら連絡入れようか…
いや、やめておこうか…
こんなに翔くんのことばかり考えてしまうなんて
お節介すぎるだろう。笑
一人運転しながら苦笑いしてしまう。
酒でも飲んで忘れるかな…笑
コンビニに立ち寄ったところで智くんから着信。
直感で『翔くんになにかあったんだ』と。
電話口の智くんは慌てていて…
その後ろで『大丈夫だから！』『先輩のこと
呼ばないで！』『迷惑掛けないで！』って、取り
乱している翔くんの声。
雅紀くんと双子くん達の声も聞こえる。
翔くんがあれだけしっかり声出していて、意思表示も
できているなら…と。
「すぐ行くから。待ってて」
智「…すみません」
電話を切って翔くんの家に車を走らせる。
なにがあったかな…
ここ最近の、翔くんの元気なさそうな顔が
頭に浮かんでは消えていく。
辛かっただろうな…と。
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作者名：空
| 作成日時：2020年3月16日 21時
