3192.【潤、ストーカーに悩む】 ページ42
［潤side］
タンタンタンタン…
「…」
タンタン…
「…」
タンタンタン…
俺が歩けば聞こえてきて、止まると止む音。
数日前から感じる…
誰かに付けられてる…
どこにいても感じる視線…
ヒソヒソと話す声…
タンタンタン…
「…」
今日こそは、きちんと確かめてやるんだ…
駆け足で角を曲がって待ち伏せする。
『…っ！』
駆け込んできたのは2人組の女子高生。
見慣れない制服を着ている。
「ずっと、後付けて来てますよね？」
女「…」
「なんなんですか？」
女「…」
しばらく黙っていた女子高生たち。
バツが悪そうな顔をしながらも、何か目で合図を
し合ってから…
女「こいつ、あんたのこと気になるんだって」
「…は？」
1人の女の人が発した言葉に絶句。
だから何？
だから後付けてきてたってこと？
女「あんた、フットサルやってんでしょ？それを見て
一目惚れしたんだって」
「…」
返す言葉が見つからない。
当の本人は俯いてしまっているし。
女「とりあえず、LINE交換してあげてよ」
「…は？」
何を言い出すかと思えば…
俺は一言「それはできない」って伝えて、その場を
立ち去った。
これで終わってくれ…と願ったんだけど、そうは
いかなかったみたいで。
俺の対応が良くなかったんだろう。
『カシャ！』
「…」
隠し撮りされたりするようになって、数人で
ストーカー的な行為をしてくるようになった。
時には男子高校生も混じっていて…
男「いい気になんなよ…」
「…っ…」
追い越す時に怖い言葉を言われることも…
謝罪すれば許してもらえるんだろうか。
でも…俺が悪いことしたんだろうか。
悶々とした日々を過ごす。
どこにいても視線を感じて、気が休まらない。
男「誰かになんか言ったら、お前の大事なもの
ぶち壊すからな」
「…っ…」
エスカレートしていく言動に、次第に恐怖で
いっぱいになっていく…
誰に助けを求めればいいの。
兄貴たち？
警察？
連日の執念深いストーカー行為。
大事なものを壊されるかもしれない恐怖。
もう解放されたくて…
その思いだけで…
『ごめんなさい。もう終わりにしてください…』
後を付けてきていた3人に向かって、路上で頭を
下げた。
それなのに…
男「誰あれ！」
女「知らない」
素通りしていった…
「…」
そこには、事の発端になった本人はいなくて…
頭を下げた俺は、一人ぽつんと取り残されて。
行き交う人たちがヒソヒソと話す声が聞こえた…
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作者名：空
| 作成日時：2019年6月7日 19時
