3172.【2】 ページ22
［潤side］
悪くなっていく状況。
和の体は痙攣して硬くなっていくし…
「…っ、かず！おい！…しっかりしろ！」
和「…」
いつもより大きな発作に、長く苦しめられた和は
ピタリ…と動かなくなった。
先「救急車もうすぐくるから」
「…はい」
先生の言葉に頷きながら、俺はどうしてやることも
できないのか…って一瞬考えたけど…
できること、まだあるよな…って。
「かず…助けるからな」
和「…」
何度か見たことある心臓マッサージ。
救急車がくるまでの間、和の命を繋げるのは自分しか
いない。
そう思ったら、何としてでもやらなきゃ…って。
和の胸に手をおいて、一生懸命に心臓マッサージを
続ける。
救急車がくるまで、あと少し…あと少し…
救「ありがとう。代わろうね」
「…はい」
無我夢中で続けていたら、いつの間にか救急車が
到着していて、救急隊の人が優しく声を掛けて
くれた。
「…お願いします、和のこと…」
救「ん、大丈夫だからね」
和の胸から手を離したら、感じなくなる温もり。
途端に不安になって涙が零れる…
「…かず」
救「すぐ運ぶから大丈夫。先に乗ってね」
「…はい」
俺は先に、救急車へと誘導された。
［翔にぃside］
和の発作がかなり大きいものだと事前に知らされて
いたから覚悟はしていた。
つもりだったんだけど…
「…っ、かず！！」
和「…っ、んっ…っ…ん…」
救急車の中で再び発作が起きて、処置中にも…
意識を取り戻した和が俺に向かって手を伸ばして
きて「大丈夫だからな」って伝えている間に
ガタガタと痙攣が始まる状態。
和「…ん…っ…ん…」
「かず？…分かるか？」
和「…ん、…ょ…にぃ…」
薬剤を投与してもらって、意識を取り戻した和が
俺の名前を呼んで手を握り返してくれる。
和「…ゅ、ん…？」
「大丈夫。潤も一緒に病院にきてるからな」
和「…ん」
こんな時でも一緒にいた潤のことを心配する和は
やっぱりお兄ちゃんだなって。
「傍にいるから、治療頑張ろうな」って話している
矢先に…
和「…っ…んっ…っ…んっ…」
「…かず！和！！」
和「…っ…」
また大きな発作が和を襲う。
体が堪えきれずにショック状態に陥る…
こんなに短い間隔で大きな発作が起こることは
今までなかった。
不安が押し寄せてきて…
「かず！…っ、ん…かず！！」
先「翔くん！落ち着いて…」
「かず！！」
先「翔くん！」
取り乱してしまって、先輩に処置室から追い
出された。
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作者名：空
| 作成日時：2019年6月7日 19時
