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［智にぃside］
和が恐怖心と
向き合おうと頑張っていて。
俺らはそれを支えようとしている。
学校から帰ってきて、キッチンにお弁当箱を
持ってきてくれて、コンロの火を見て…
和「…っ、んっ…ん…んっ…」
翔「…大丈夫。ゆっくり、ゆっくり…」
和「…ん…っ…」
今日は翔が明け休みで、夕方になって起きてきて
ソファーで新聞を読んでいたから、すぐにフォロー
してくれた。
俺らは「無理してキッチンにいかなくていいよ」って
伝えているんだけど、和は「いいの。逃げたくない」
って。
和の気持ちを優先しようって決めているから
俺らはとやかく言わない。
呼吸が乱れて苦しそうだけど、翔の服を掴んで
体を預けながら呼吸を整えて…
和「…っ、はぁ…ん…はぁ…」
翔「そうそう。上手、じょうず…」
次第に落ち着いてきた。
和「…全然、よくなら、ない…」
翔「そんなことないよ、大丈夫。少しずつ必ず
良くなっていくから…」
「そうだよ、かず。ゆっくりでいいんだから…」
和「…ん」
本人にとってはね、苦しいし辛いし、少しでも早く
って気持ちがあるんだろうけれども。
精神的なものは、場合によっては回復にものすごく
時間がかかる。
無理してプラスになることって一つもないからね。
雅「かずー、風呂入ろう？」
和「今ゲームしてるから。あとで〜！」
雅「えー、今入ろうよ〜！俺、仕事で汗かいた！」
和「俺はかいてない〜！笑」
雅「こんにゃろっ！」
和「きゃはっ！やめろやっ！」
雅紀が首元をくすぐれば、和はラグに転がって。
そのままワチャワチャと風呂場へと消えていった。
翔「騒がしいな、あいつら。笑」
潤「くはは！ほんと！翔にぃ後で一緒に入ろう？」
翔「ん、入るか！」
「…ふふ」
夕食の準備をする時間、雅紀はこうして和を連れ
出してくれる。
料理中に恐がらずに済むように。
和が無理をせずに済むように。
上手く誘い出せるのは雅紀くらいかもしれない。
俺らには、できれば無理させずに少しずつ克服させて
やりたいって思いがあるから。
和「…っ、んっ…んくっ…火、が…」
「…ん、恐かったね、もう大丈夫」
夢で魘されることも多いから、夜はなるべく誰かが
一緒に寝て。
『もう大丈夫！』って和が笑えるその日まで
みんなでしっかり見守っていくつもり。
それが明日でも、1年先でも、10年先でも構わない。
だって俺らはいつだって5人でいるんだから…
END
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作者名：空
| 作成日時：2019年6月7日 19時
