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［翔にぃside］
雅紀に付き添われて
救急車で病院にきた和。
処置は救急の医師に任せて、雅紀を連れて個室へ。
「ありがとな、雅紀。拭きな？」
雅「ん、ありがと…」
炭で黒くなった体を、ホットタオルで拭かせて
病院に予備で置いている俺の服を貸す。
着替えながら、雅紀はこうなった経緯を教えて
くれた。
雅「思ったより、すごい熱くなってて煙もすごくて」
「…ん」
雅「和、熱くて苦しかったと思う。煙も吸い込んで
足も火傷してたし…」
「…そっか」
想像すると苦しい…
雅紀は「火事場の馬鹿力が出た！笑」なんて言って
笑っていたけどね。
今はその明るさに助けられる。
「潤のフォローも必要そうだな…」
雅「だね…」
潤は、救急車の到着前に現場に着いた智にぃに
連れられて、あらしと一緒に一旦帰宅したらしい。
まずは和の回復を祈るのみだけど、潤が心に受けた
ダメージも相当だと思うから、見逃さずにちゃんと
ケアしてやりたい。
潤「…っ、かずは？」
「会いにいくか？」
潤「…ん」
潤が智にぃと病院にくる少し前に、和の処置は
終わっていた。
ただ、まだ意識が戻っていない。
ICUで沢山の管に繋がれている状態。
潤「…っ、んくっ…ごめん、かず…俺が…」
「謝んな、潤。お前のせいじゃない」
潤「…っ、んっ…俺に、力がなかった、から…」
智「…じゅん？和はそんな風に思ってないよ」
潤「…っ、…んっ…で、も…」
やっぱり潤は自分のことを責めてしまう。
でも、和は『ありがとう』って言うはずなんだ。
和はあらしと潤を助けたかったから。
潤が和のことを置いていく決断ができたから、
みんな助かった。
そのことには、和はもちろん俺ら兄も感謝してる。
雅「潤はよくやってくれたよ」
「ん、俺もそう思う」
潤「…っ、んっ…」
コクコク頷きながらも「ごめん…」って言いながら
和の頭を撫で続ける潤。
意識が戻らないことには、潤が感じている責任を
ゼロにしてやることはできないな…って。
「先輩、相談にのってもらっていいですか？」
先「ん、もちろん。カルテはチェック済み。笑」
治療は先輩の力も借りて。
智にぃと雅紀にも、なるべく病室にいてもらって
沢山話しかけたり、マッサージをお願いして。
雅「じゅん？送ってってやろうか？」
潤「…ん」
雅「あひゃ！そんな顔してると和に笑われるよ」
潤のことを学校に送迎したりのフォローも頼む。
なるべく5人で同じ時間を長く過ごしたいから。
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作者名：空
| 作成日時：2019年6月7日 19時
