3110.【5】 ページ10
［翔にぃside］
先輩は厳しいことを
言うこともあるけど、患者の気持ちに寄り添うプロ
だと思う。
俺のことも、智にぃの次に理解してくれる人。
先「これに替えようか。落ち着くまででいいから」
「…っ…」
俺が「いらない」って言うより早く、先輩は智にぃに
「智くんいい？」って声を掛けて、酸素マスクを
渡した。
鼻からの酸素吸入だけじゃ足りないから…って
ことなんだと思う。
確かに呼吸は苦しい。
だけど、こんなのに頼るのは悔しい…
そんな思いでいっぱいになったら、涙が止まらなく
なってしまった。
「…っ、んっ…っ…」
智「…翔？泣かなくて大丈夫…」
智にぃは酸素マスクを当ててくれながら、優しく
頭を撫でてくれる。
先「少し様子見てもらえる？眠れると思うから」
智「はい、ありがとうございます」
先輩は智にぃに声を掛けてから、そっと病室を
出ていった。
薬を入れてくれたんだろう…
気が付いたら眠れていて、目が覚めた時には呼吸も
ラクになっていて。
「ありが、と…」
智「んふふ…辛い時はお互い様だからねぇ」
智にぃが変わらず頭を撫でてくれていた。
「退院、できるように頑張らなきゃ…」
智「もう十分、頑張ってるよ」
しっかり目を合わせて「んふふ…そうでしょ？」
って。
「…ん、ありがと…」
［潤side］
ここのところ、いつ面会にいっても元気がなかった
翔にぃだったけど、今日は少し元気になってた。
和もそれを感じるみたいで、喜んでベッタリ。
「ちゃんと退院するからな」って嬉しい言葉も
聞けた。
翔にぃは責任感が強いから、今回の入院で自分のこと
責めすぎてしまっていないかな…って心配して
たんだ。
症状は一進一退でなかなか良くならないって
聞いていたし。
でもね、今日の笑顔見れて安心した。
翔「あ、美味そ〜！いただきまーす！」
和「…ふふ、食いしん坊だ！笑」
翔「はは！」
夕食もガツガツって程じゃないけど食べられて
先生にもOKもらえて。
面会終わりの時間になった時に、智にぃに「明日も
散歩連れてって」ってお願いもしてた。
前向きに休養できれば、回復も早いだろうからって
智にぃが帰りの車で嬉しそうに話してて。
智にぃの癒しパワーで翔にぃが元気になったんだな…
って和と話した。
やっぱりね、翔にぃには医者としてバリバリ働いて
いて欲しいからね。
元気になったら、またその背中追いかけさせて…って
秘かにお願いしておこう。
END
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作者名：空
| 作成日時：2019年3月25日 20時
