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［先輩side］
翔くんは体調不良を
隠すのだけは上手なんだから…
困ってしまう。
当直だったから、よかったけど。
なんだかんだ、やっぱり翔くんのことは一番気になる
から。笑
明け方、病室を覗いたら眠れていた。
熱はそんなに高くないけど、肺炎で苦しそうな呼吸が
気になる。
喘息は落ち着いたんだけどね。
このままだと、呼吸が苦しくなって起きてしまうのは
時間の問題だと思ったから…
「…起きるなよ〜。笑」
苦しさで起こしてしまうのは百も承知で、痰の吸引。
翔「…っ、んっ…」
「ちょっと我慢してな〜…」
吸引する為に鼻からカテーテルを入れたら、さっそく
ジタバタ。笑
そりゃそうだよな…と思いながら、まだ意識が
薄れているうちに、カテーテルを進めていく。
翔「…っ、んっ…、…っ…」
「ごめん、ごめん。もう少し…」
顎を軽く固定しつつ、少し強引に進めていたら
パチっと開いた翔くんの目。
もう駄目だな。笑
翔「…っ、んっ…っ…んっ…」
「ごめん、ごめんな？笑」
カテーテルを抜いて謝ったら「寝込み襲わないで
下さいよー」ってさ。
眠る前より元気そうでよかった。
「はいはい。じゃあ、やります」
翔「…えー…」
「えー、じゃないの…笑。頑張るよー？」
翔「…うぅ…」
少し強引だけど再び顎を軽く抑えて、反対の鼻に
カテーテルを入れていく。
翔「…っ、んっ…ん…」
「もう少し…」
翔「…っ、んっ…ん…っ…」
「はい、最後。口開けて？」
翔「…っ、あー…」
嫌そうな顔してるけど、俺には従うしかないから。笑
なるべく苦痛少なく終わらせてあげられるように
しないとね。
「ごめんな〜…ちょっと頑張れ」
翔「…っん、んっ…おぇっ…」
苦しさで生理的に零れてくる涙をサッと拭いながら
痰を吸いきる。
翔「…っ、んっ…おぇっ…、んっ、ん…んん…」
「もう終わりにしような」
翔「…っ、んっ…ん…」
「寝込み襲ってごめんな？笑」
最後にもう一度涙を拭ってあげたら「ありがとう
ございました…」ってさ、律儀なやつ。笑
そのまま目を閉じたから、ゆっくり寝かせて
やろうと思って、ベッドサイドの電気を消して
病室を出た。
入院が長引くと、精神的な負担も多くなるから
なるべく早く退院できるようにもっていきたい。
特に翔くんは、周りへ申し訳なさを感じ過ぎて
しまうタイプだから。
看護師もスタッフも研修医も口を揃えて「もっと
頼ってくれていいのに」って言ってるのに。
知らないのか！？笑
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作者名：空
| 作成日時：2019年3月25日 20時
