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［翔にぃside］
こういう機会がないと
智にぃはなかなか弱い部分を見せることができない
から…
本人にとっては辛いことかもしれないけど、必要な
ことだと思ってる。
だって、溜め込み過ぎたら必ずいつか爆発する時が
くるからね。
コンコンコン…
就寝のために智にぃが自室に戻った後は、必ず顔を
出すようにしてる。
ノックしても返答ないんだけど、起きてるんだよね。笑
しかも必ずこっちを向いて、布団をギュッと握り
しめて目を潤ませて。
俺のこと待っててくれてるのかは不明だけど。笑
「…今日はどう？眠れそう？」
智「…ん、ん…」
だいたいいつも、どっちつかずの返事。
「そっち、寝ようか…？」
智「…うん」
でもね、この問い掛けには毎回しっかり頷いて
くれる。笑
「失礼しまーす。笑」
智「…ん」
ベッドに入れてもらって髪の毛に触れながら
ゆっくりお話し。
智にぃね、髪の毛に触れている時はすごい安心した
顔になる。
だからなるべく、こういう時間を大事にしながら
安心して寝付けるように過ごしてる。
智「…会いたく、なった時は…どうしたら
いいの？」
「会う代わりに、心が落ち着く方法を考えよう」
智「…っ、…ん…」
「会いたいって気持ちには嘘を付かなくていいと
思うんだ」
智「…ん、んくっ…」
「会いたいって思っても会えない時、智にぃの心が
少しでも落ち着くのはどんな時？」
智にぃはポロポロ泣きながらも少し考えている表情。
それからしばらくして「泣いたり」「翔や雅紀に
話したり」「父ちゃんと母ちゃんに話しかけたり」
って言葉を繋いで教えてくれた。
真っ赤な目で、いつもより幼い表情と言動だけど
なんとか自分で前を向こうと頑張っているのが
伝わってくる。
智「…っ、んくっ…ん…」
「…よしよし」
普段の智にぃには、なかなか言えない言葉も
退行して少し幼くなっているから、躊躇いなく
遣えて、むしろ、こっちの方がしっくりくる。笑
智にぃは泣きながらも俺の服を掴んできて、それから
「翔とこうしてる時が、一番心が落ち着くよ」って
教えてくれた。
「いつでも、頼っていいからね…」
智「…ん」
とはいっても、やっぱり頼るのはこうして何かが起きた時しか難しいとは思うけど…
「頼って欲しいから…」
智「…ありが、と…」
伝えておくことはできるからね。
5人兄弟の長男という立場になったことがないから
分からないけど…
大変だろうなという想像はつく。
力になれたらいいな…
END
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作者名：空
| 作成日時：2019年3月25日 20時
