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［翔にぃside］
なんだかここ数日、
智にぃの表情に違和感がある。
笑っていても無理をしているような…
悲しそうな寂しそうな目をしていたり…
仏壇の前に、いつもより長く座って、ボーッと
していたりするんだよね。
コンコンコン…
「ちょっと、呑まない？」
智「…ん、あぁ、呑もうか」
部屋にいた智にぃを誘って、リビングで待つ雅紀の
元へ。
雅「あ、きたきた！食べよ〜、呑も〜」
智「…んふふ」
つまみを並べながら、雅紀がピカイチの笑顔を
見せるから智にぃもつられて笑う。
『かんぱーい！！』
別に智にぃの何かを探ろうってワケじゃないから、
いつも通りに楽しく呑んで、双子のこととか
たわい無い話をして。
仕事のことなんかも話した。
智にぃは終始笑顔でいつも通り。
「最近さ、夢で父ちゃんと母ちゃんによく会うの」
って教えてくれたりして。
雅紀が「いいなー！」って、すげぇ羨ましがってた。
正直俺も羨ましいけど。笑
だって夢ってさ、見たくて見れるもんじゃないから。
俺なんて、もうしばらく両親には会っていない。
雅「いいなー、俺も会いたい！」
智「んふふ…そのうち出てきてくれるよ、きっと」
雅「あひゃ！そうだね！」
雅紀も心配していたから、智にぃの笑顔を見て少しは
安心できたみたい。
智にぃが夢で両親に会うことで、幼い頃を思い出して
寂しさとか甘えたかった気持ちを抱え込み始めて
いることには気が付かなかった。
長男だった智にぃは早くにお兄ちゃんになって…
そのうちに、親代わりみたいになって…
きっと、自分でも気が付かないうちに色んな思いを
抱えながら、ここまできたんだろうね。
智「そろそろ寝よっかな」
「そうだね、寝よっか」
雅「久しぶりにゆっくり呑めて楽しかった〜」
智「だねぇ」
それぞれ部屋に分かれて、その日はそれで終わったん
だけど…
「…智にぃ？なんかあった？」
智「…」
「…智にぃ？」
智「…ん？あぁ、ごめん。ボーッとしてた。笑」
数日が経って朝起きたら、仏壇の前にひたすら座り
続ける智にぃの姿が。
いつもだったら、もうお弁当作ってる時間なのに…
智「ごめん…」
「いや、いいんだけどさ。どうしたのかな…と思った
だけだから」
智「ちょっとボーッとしただけ。笑」
「まだ夢に出てきてくれてるの？」
智「いや、あれからはサッパリ…」
そう言って立ち上がった智にぃの顔はどこか寂しげ…
なにを思っているのかは分からなかったけどね…
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作者名：空
| 作成日時：2019年3月25日 20時
