3115.【5】 ページ15
［智にぃside］
こうなってしまったのは
自分のせいだって分かるけど…
今回はいつも以上に嫌々言ってしまったかな。
翔に叱られて『もういいや…』って、ちょっと
自暴自棄。
ギュッと目を閉じたけど、なんだかんだ翔はやっぱり
優しくって…
「上手にできてるよー…」「頑張れてるね」って
何度も声を掛けながら、肩の辺りを優しくさすって
くれる。
ちょっと顔を動かしただけで、処置されている胸の
部分が見えてしまいそうで恐い…
「…ん、んん…」
先「ちょっと違和感あるよね…麻酔少し入れるね」
「…んん」
翔「大丈夫、だいじょうぶ…深呼吸してごらん？」
「…っ、ん…ふぅ…」
翔の言葉を聞いて、自分の呼吸がすごく速くなって
いたことに気が付いた。
翔「智にぃ…？力入れないよ？」
「…ん、んん…ふぅ…」
翔「そうそう、上手。目、開けてみて…？」
グリグリと違和感があったり、少し痛みがあったり
する度に、翔が優しく声を掛けてくれる。
翔「もう少し我慢ね…」
「んん…」
抑制のために掴んだ手は、少しも緩めてくれない
けどね。笑
確かに今ここでズキっという痛みがきたりしたら、
間違いなく俺は手を出すからね。
さすが翔はよく分かってる。
先「少し痛いかも…でもすぐ済むからね」
「…も、う、やだよ…」
今でも少し痛みと違和感がすごいのに…って思うと
さらに痛くなるって先生の言葉に不安になって
つい弱音が…
翔「大丈夫…深呼吸続けて？」
「…んん」
翔に声を掛けてもらっても、深呼吸する余裕が
なくなってきた…
そのうちに痛みが増して、グリグリと何かが進む
感覚と、カタン…と金属のトレーから器具を取ったり
置いたりする音。
「…っ、んっ…んん…」
翔「だーめ。笑」
「…んん、やだ…」
翔「もう終わるから…ね？」
一瞬だけど鋭い痛みを感じて、翔の手から逃れようと
力を入れたけど無駄だった。笑
でも、優しく握り返してくれた。
先「よし、おしまい。お疲れ様…」
翔「ありがとうございました」
俺の代わりに先生に御礼も伝えてくれるし。
お兄ちゃんみたいな時ある。笑
先「これで、呼吸も痛みもラクになるからね。もう
翔くんに叱られないように、しばらく安静にして
入院してね。笑」
「…は、い…」
翔「はは！」
先生にもからかわれるし…笑
翔「我慢し過ぎると、何も良いことないからね？
俺も何度も経験してるけどさ。笑」
「ん…そうだね」
次からはちゃんと言う。
たぶん。笑
END
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作者名：空
| 作成日時：2019年3月25日 20時
