2997.【2】 ページ47
［NOside］
藤「先生達は
和也くんの味方だから。な？」
和「…ん、…っ、んくっ…」
藤川先生の声がしっかりと耳に届くようになった和。
とりあえず今の状況は掴めて、目の前にいる3人の
お医者さんと看護師さんのことも把握。
『恐くない』って自分に言い聞かせた。
藍「藤川、そろそろいいか？」
藤「ん、大丈夫」
藍「冴島も頼む」
冴「はい」
せっかく落ち着いてきたけれど、点滴の処置が必要。
和にとってみれば、このまま触れずに何もせずに
翔にぃのいる病院に運んで欲しいところだけど、
出血もしているし、そういう訳にもいかない。
藍沢先生も藤川先生も冴島さんも、点滴の処置を
すれば、またパニック状態に陥ることは覚悟して
いる。
藤川先生が頭を撫でながら「先生が痛いのなくなる薬
入れてくれるからね」と、笑顔で声を掛けるも
察しの良い和はすぐに注射だと気が付く…
和「…っ、ん…、いや…、や…」
藤「大丈夫…ちょっと頑張ろう…」
せっかく落ち着いたのに…と思うけれど、先生達から
言わせれば、点滴をする為に落ち着かせたという
意味が大きい。
パニック状態の和に、いきなり点滴の処置を
しなかっただけ、マシと思った方がいい。
この先生達は和のことをちゃんと考えてくれた。
和「…っ、んっ…や…、いや…」
藍「しっかり抑えてて…」
藤冴「…はい」
和「…っ、ぎゃー」
藍沢先生が手の甲に点滴の針を刺した途端に
パニックで体を捩らせる和。
泣く子どもや、暴れる大人への処置は慣れている
3人だけれど、恐怖症を患ってパニックに陥る患者は
そう多く経験していない。
それでも、藍沢先生の処置は適切で迷いがなく、
冴島さんの身体抑制もさすが。
和「…っ、ぎゃー！」
藤「終わりだよ、和也くん。ごめんね、嫌だったね」
藤川先生の優しい声掛けも…
今は和には届かないけれど、時期に落ち着かせて
くれると信じていい頼もしいもの。
和「…っ、んっ、い、や…しょ、…ぃ」
藤「大丈夫…恐いことしてごめんね…もう大丈夫」
和「…ん、…や、や…」
未だパニック状態から抜け出せずに、バタバタと
腕を動かして、先生たちを追い払おうとする和。
藤川先生が毛布を掛けて動きを抑制しつつ
「大丈夫、大丈夫…」と優しく声を掛けてくれる。
藍「お腹診るから…頼む」
藤「はい」
冴「和也くん、少し服捲ります」
和「…っ、や…」
ヒックヒックと忙しなく動く和のお腹に、藍沢先生の
大きな両手のひらがそっと当てられた。
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作者名：空
| 作成日時：2018年9月6日 18時
