2989.【4】 ページ39
［智にぃside］
日中も自室の窓を締め切り
カーテンをして、DVDなどを大きめな音で再生。
翔は塞ぎ込みがちになってしまった。
トントントン…
「翔、入るよ〜」
翔「あ…智にぃ…」
「んふふ…寝癖ついてる。笑」
お昼ご飯の前に部屋を覗いたら、ベッドに寝転んで
目を閉じていた翔。
眠っていたわけではないみたい。
こうやって、何もしないでボーッとしていることも
増えた。
翔は昔から、予定をギチギチに詰め込んで行動する
タイプで、何もしないで時間を潰すってことを
あんまりしたがらなかった。
だから今のこの時間、翔にとってどうなんだろう…
って、ちょっと思ってしまう。
「お昼の準備、手伝ってくれる？」
翔「…ん」
「お昼ご飯できたよ〜」って呼びにきてもいいん
だけど、一緒に過ごす時間も大事にしたくて。
翔「…あ、やだ…」
「…ん？」
階段を降りようとした時、聴こえてきてしまった
みたい…
救急車のサイレンの音。
俺は気が付かないくらい遠くで小さく…
窓は閉め切っているとはいえ、2階が無音だったのが
良くなかった。
翔「…っ、はぁ…はぁ…っ、んっ、はぁ…」
「…座ろうか」
胸元のTシャツをガシッと掴んだ翔は途端に顔を
歪ませて、苦しそうな呼吸をする。
発作を起こすと、立っていることも難しくなって
しまうから、階段から少し遠ざけたところに
座らせる。
翔「…っ、んっ…はぁ…はぁ…んっ…っ…」
「ゆっくりね…」
発作を起こしている間はどうしてやることも
出来なくてもどかしい…
翔「…っ、ん…ん…」
「…落ち着いてきたね」
しばらくして少しずつ落ち着いてきた翔は
「…もう、やだ…」って呟いてポロポロと涙を
零し始めた。
今回の件では初めての涙…
いっぱいいっぱいになっている翔の心を表している
みたいに、頬を伝う涙はなかなか止まらない。
「大丈夫…ゆっくりでいいんだから…ね？」
翔「…っ、んっ…ん…」
背中をさすりながら落ち着くのを待つ。
「一緒にご飯作ろう？今日ね、ピザ焼こうと思って
るんだよ！手伝ってくれる？」
翔「…ん、一緒に…」
「ん、一緒にやろうね」
手を引いて立たせたら「ありがと…」って。
泣いていた目が赤くて痛々しいけど…
翔「ふふ…智にぃのピザ、顔みたいになってる！笑」
「んふふ…そう？笑」
具をのせてオリジナルのピザを作っていたら
笑顔も見せてくれるようになった。
翔にはまだ言ってないけど、これから先生が
来てくれる予定なんだ。
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作者名：空
| 作成日時：2018年9月6日 18時
