2979.【3】 ページ29
［翔にぃside］
かなり緊張気味の潤。
さっき、状態を確認する為の診察でも恐かったのか
無意識に頭が逃げちゃってた。
触られて少し痛かったのもあると思うけどね。
ひとごとだと言われてしまうかもしれないけど、
ほんと災難が続くよなぁ…と。
眼「翔先生に、手握っててもらおうね」
潤「…ん」
「いるから…大丈夫だから。な？」
潤「…ん」
診察台に寝転んで左目以外を覆うように滅菌した
ブルーの布が掛けられたら、体がガチガチ。
握っている手も冷たいくらい。
潤「ん…んん…」
眼「ちょっと痛いかな…ごめんね」
開瞼器具を装着されたら、苦痛の声が漏れる。
眼「目薬さすよ…少し痛み引いてくるからね」
潤「んっ…んん…」
麻酔の目薬にビックリした体がビクッと反応する。
しばらく待ってから局所麻酔の注射。
先生は「もう一回麻酔するよ」とだけ伝えて、
潤の視界に入らないところで注射器を構える。
潤は頭を軽く固定されていて動かせないから
注射器を視界に捉えることもないしね。
見てる俺のが恐くなっちゃう。笑
潤「…っ、恐い…」
眼「大丈夫。あっという間だよ」
注射針が瞼に刺さる…
痛みはないんだろうけど違和感はあるみたいで
握っている手にギューッと力が入った。
潤「ん…んん…」
「大丈夫だよ、もう終わるから…」
潤「…んん」
両手で手を包み込んで、さすりながら声を掛けて
処置が終わるまでずっと励ましていたけど、処置の
終盤には、潤もかなり落ち着いた。
たぶん、痛みがないことで不安が少し解消されたの
かな。
眼「よし、おしまい。綺麗にとれたよ」
潤「…りがとうございます…」
「頑張ったな」
潤「…ん」
膿を出してしまえば治りも早いし、目薬と内服薬で
治るから。
家でもみんなに「頑張ってよかったね」って
言ってもらえて、1週間くらい経った頃には
「手術して、よかった」って、自ら言ってくれる
程に回復して。
「災難続きだったけど治ってよかったね〜」なんて
言ってたんだ。
それがさ…また…
智「自転車で転んだって…」
「なんで潤ばっかり…」
智「ほんとにね…どうしちゃったんだろうね…」
もちろん、他の人ならいいとか思ってるわけじゃ
ないよ。
でも、潤ばかりがこうして災難続きだと…ね。
色んな意味で不安でいっぱい。
だから…
潤「あ、翔にぃ！…ごめんね、心配掛けて…」
「…ばかっ」
元気な姿を確認した時、思わず涙が零れそうに
なったんだ…
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作者名：空
| 作成日時：2018年9月6日 18時
