2969.【3】 ページ19
［先輩side］
運ばれてくる急患が
和くんだと知って、急いで救急口へ。
「少し落ち着きました」って言いながら、救急車から
降りてきた翔くんの顔色がもの凄く悪くて…
「…翔くん、どうした？」
翔「…ちょっと、寝不足、で…」
「嘘つけ…」
問い詰めてやりたいけど、今は目の前の大事な弟を
救うことしか考えられないだろうな…と思って
やめておく。
家や救急車内での処置の報告を受けて、翔くんと
相談しながら和くんの治療にあたる。
和「…っ、ん…や…」
翔「大丈夫…だいじょーぶだよ、和」
点滴を手の甲に刺し替えようとしていたら、目を
覚ましてしまった和くん。
すぐに翔くんが頭を撫でながら「5だけ我慢しよう？
先輩だから、大丈夫。恐くないだろ？」って
優しく声を掛けてる。
和「…っ、んくっ…や…。お家…」
翔「ん、すぐ帰れるよ」
和「んん…」
翔くんの合図を受けて、手の甲に針を刺す。
動かれては困るから、ちょっと可哀想だけどガッチリ
押さえてしまったから恐かったかな…と思って
刺し終えてすぐに顔を見たけど…
「…大丈夫そうだな」
翔「はい、お陰様で…」
穏やかな顔をして目を閉じてる和くんがいた。
翔くんが傍にいてくれたからだよね。
「もう少し鎮静剤追加して休ませようか」
翔「そうですね。お願いします…」
翔くんは和くんの傍で、最後まで点滴の調整をして…
「もう大丈夫だな」
翔「はい…ありがとうございました」
容態が落ち着いて、眠りに落ちたのを確認した直後…
…
「…っ、翔くん！！」
足から力がストンと抜けるようにして、床に倒れ
込んだ。
「翔くん！」
翔「…」
「…どこが痛い？…頭？」
翔「ん…ん、和、先に…」
こんな状況でも翔くんは「和を先に病室に…」って。
看護師に頼んで和くんを病室に連れていってもらう。
雅紀くんと潤くんにも付いていってもらって…
智「…しょう」
翔「…と、にぃ…」
「傍にいてやって？」
智「…はい」
智くんはこっち。
額の汗を拭いてもらったり、声を掛けたりして
もらいたいからね。
「いつから？」
翔「…っ、ずっ、と…」
「薬は？…なに飲んでた？」
翔「…っ、こ、れ…」
スウェットのポケットに手を入れて掴んだゴミは
市販の頭痛薬だった。
「言ってくれれば処方箋出すから」
翔「…は、い。…みません…」
「痛くて眠れなかった？」
翔「…は、い」
頷いたのを確認して、点滴の処置と取り急ぎ鎮痛剤を
入れた。
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作者名：空
| 作成日時：2018年9月6日 18時
