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［翔にぃside］
途中で智にぃと
雅紀が運転を交代した。
智にぃは運転しながら、助手席で大人しかった
俺を見ていたんだと思う。
「後ろで休む？」って。
「看病続きで疲れてるでしょ？」って気に掛けて
くれた。
確かに、和が発作を起こして入院してからは心配で…
病院に泊まり込む日が続いていたし、疲れは
あったんだ。
それが原因で喘息の症状も出たんだと思う。
でも今さら休んだところで…と思うのが正直な
ところ。
隠し通すって決めたんだから…
「寝なくても大丈夫」って言いながら、助手席から
後部座席に移動する。
智にぃが助手席に座ってくれれば、俺に目が行き
届かなくなるしね…なんて、ずるいこと考えて。
案の定、智にぃと雅紀が色々喋って、双子が
キャッキャとゲームしてくれて。
俺は大人しくスマホをいじる。
画面なんてほとんど見てなかったけどね。
咳を我慢することに全神経を集中させていたから。笑
智「到着だぁ〜」
和潤「わーい！！」
雅「いい宿っぽいね〜、さすが翔にぃ」
「はは！喜んでもらえてよかった！」
宿探しは意外と大変なんだよね。
犬もOKで、大きな病院も近くにあって…ってなると
尚更。
大きな病院…俺が世話になることにならなきゃ
いいけど。笑
車の中で、なんとか咳を我慢できたから、この先も
何とかなる…って、ちょっと思ってた。
その油断がよくなかったのか…
「…っ、けほっ…けほっ…」
やばい…
部屋に案内されてすぐ、咳が止まらない。
「…っ、んっ…けほっ…」
双子は喜んで、あらしと共に和室を走り回ってるし
智にぃと雅紀も荷物を置いて「とりあえず、お茶に
する〜？」なんて言ってるから気付いてないかな。
よし、今のうちに…
スマホを手に持ち、電話でもきたことにしようと
そっと部屋を出た。
「…っ、んっ…けほっ…けほっ…」
廊下ではなんとか咳を堪えて、洗面所に駆け込む。
「…っけほ…けほっ…っ…」
洗面台に手を付いて、なんとかやり過ごそうと
するけど、なかなか止まらない
吸入薬取りに戻ろうか…って考えが頭によぎった時…
智「…やっぱり」
「…っ、けほっ…さと、にぃ…？」
いつもより少し低めの智にぃの声がして、慌てて
顔を上げたら、鏡に智にぃの姿…
やばい…
智「喘息出てるんじゃないの？…隠してるだろ」
「…っ、けほっ…そんなこと、ない」
鏡ごしに、じーっと見つめてくる智にぃは、
「病院いくぞ」って…
俺が恐れていた言葉を口にした。
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作者名：空
| 作成日時：2018年9月6日 18時
