2962.【智にぃの髄膜炎】 ページ12
［智にぃside］
あぁ…頭が割れる…
ズキン…ズキン…という頭痛は治ることはないよって
いうみたいに断続的に俺を苦しめる。
朝から少しずつ体調が悪くなって、夕食後には
耐え難い程の痛みになった。
さすがに夕食後の片付けができなくて、雅紀に
「ごめん、ちょっと体調悪いから頼む」って
お願いして自室に駆け込んだ。
双子は夕食後すぐにお風呂に入っていったし、翔は
まだ帰宅していないんだ。
「…んん、ん〜…」
ベッドで頭を抱えて何とか痛みをやり過ごそうと
するんだけど、どれもこれも上手くいかない。
こんなに痛いのは異常だ…って感じて怖くなる程に
すごい痛み。
「んん…ん〜…」
ベッドの上で一人で耐え続けて、もう駄目だ…
意識が飛びそう…って思った時に、ガチャッて
玄関のドアの開く音がした。
翔だ…
そう思ったら「助けて…」って言わなきゃと思って。
「…んっ、んん…」
ベッドから起き上がろうとしたけど、体に全く力が
入らなくて動けない。
「ん…んっ…んん…っ…」
頭痛と共に吐き気が襲う。
顔をほんの少し横に向けた状態で嘔吐してしまった…
「…っ、んっ…んっ…」
痛みと苦しさで涙が零れる…
［翔にぃside］
帰宅してすぐに玄関で雅紀から「智にぃが調子
悪そうだからいってあげて？」って言われて。
廊下を通れば風呂場からは双子の楽しそうな声。
いつもだったら和と潤に『ただいま』の挨拶くらい
するんだけど、今日はなんだか嫌な予感がして
そのまま洗面所を通り過ぎる。
早く智にぃのところにいかなきゃいけない気がした。
トントントン…
「…智にぃ？ただいま〜…入るよ？」
寝ちゃったかな…と思ってドアを開けて驚く。
ベッドの上で寝転んだまま嘔吐してしまっている…
「起き上がれない？…ちょっと待ってね」
智「…め、ん…」
とりあえず横向きになるのを手伝ってから、雅紀に
ヘルプを頼んだらすぐに来てくれた。
状況をパッとみて判断して、タオルやら洗面器、
水も用意してくれるから助かる。
「うがいしようか…口の中気持ち悪いよね」
智「…ん」
雅「支えよっか」
「ん、お願い」
雅紀が智にぃの背中を支えてくれて、辛うじて
座っていられるような状態。
「頭痛？」
智「…ん」
酷い頭痛と嘔吐となると、早目に病院に連れていった
方が良さそうだな…
双子には雅紀から説明してもらって、とりあえず
3人には家で待機していてもらうことに。
痛みで苦しそうに唸る智にぃを助手席へ…
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作者名：空
| 作成日時：2018年9月6日 18時
