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［雅にぃside］
時刻はすでに
20時を指している。
翔にぃは、智にぃと
電話で連絡を取り始めた。
翔「雅紀、警察行こう」
にぃ達が相談した結果なら…と
俺は警察署に車を走らせた。
警察に事情を説明する翔にぃ。
警「分かりました。まずは家出という
方向で捜索をすることになります」
警察官が口にした「家出」というフレーズが
心に突き刺さる…
しばらく座って待っていたら、翔にぃの
携帯に智にぃから連絡が入った。
翔「雅紀、智にぃがね、お墓に
行ったんじゃないかって。行ってみよう？」
とりあえず、お墓に居なかったら
捜索してもらうことにして
俺らは車を走らせた。
父さんと母さんの墓までは、
車で40分程。
前の家の近くだから、今の家からは
少し遠いけれど…
俺らは毎年必ず何回か、
揃ってお墓参りをしている。
前にも1度、智にぃに厳しく叱られた時に
和はお墓に行って泣いていたことがあった。
なんだか居る気がして、
俺はギリギリまで車をとばした。
外はかなり冷え込んでいる。
周りも真っ暗だ…
翔にぃと俺は、車に常備してある懐中電灯を
頼りに、お墓を進んだ。
翔「あ、いた…」
お墓の前にペタンと座り込んだ和。
「かず！！」
俺は数メートルを夢中で走って
和を抱きしめた。
冷えきった体。ガタガタ震えている。
和「…まさ、にぃ？」
「そうだよ。ごめんね。和…」
翔「とりあえず車に行こう？」
翔にぃが持ってきたブランケットで俺らを
包んで抱きしめる。
和「…しょ、にぃも？きたの…？」
翔「うん、車に行こう？」
和は涙を流しながら首を振る。
翔「どうして？」
和「…どこに、かえるか、わかんない。
だから、ききに、きたのに…
おしえて、くれない…ずっと…
きいてるのに…」
「なんでそんなこと言うの？
帰るとこあるでしょ？潤が泣いてるよ？」
和「…わかんない。なんにも、わかんない…
かえるとこも…ぜんぶ…わすれたい…」
翔「分かったよ。和。
家でゆっくり聞くから。
もう立てないでしょ？行くよ？」
翔にぃは和をすっぽりブランケットで
包むと「よいしょ！」って
抱き上げた。
翔にぃの言う通り、和は全身から
力が抜けてしまっていて人形みたいだ…
翔「雅紀、後ろ座って？
和のこと頼むね。」
翔にぃは俺の膝の上に、頭がくるように
和を寝かせて、
着ていたコートとパーカーをかけてやった。
俺も慌ててコートを脱いで、
ガタガタ震える和に掛けてやって
体をさすりながら、家に電話した…
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作者名：空
| 作成日時：2012年12月30日 18時
