5人で生きてゆく…part6 (ページ42)

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292.【家出】ページ42

［潤side］

リビングのテーブルの
上に広げられた
動物園のパンフレット。

雅「3つの動物園からさ、
飼育員として務めないかって
誘われてるんだ」

「雅にぃ、すごい！」

夕食後、雅にぃはリビングにみんなを
集めて話し出した。

雅「悩んでるんだ…今の動物と離れるのが
寂しいっていうのが一番。後は今の仕事に
やりがいも感じてるし」

智「動物園に勤めてみたいって気持ちは
あるの？」

雅「うん、ちょっと興味はある。でも、
仕事時間も長くなるし、休みも減るし…」

翔「挑戦してみたいなら、やってみても
いいんじゃない？雅紀の移動動物園での
仕事ぶりが評価されたんだから
嬉しいことだよ。」

智「そうだね。もう少し考えてみたら？
いつでも話聞くからさ」

和「…ねぇ、俺のせい？」

黙って座っていた和が急に声を上げた。

雅「どういうこと？」

和「…」

和は下を向いたまま両手をギュッと
握りしめた。

翔「かず、どした？いいよ、話してごらん？」

隣に座ってる翔にぃが優しく声を掛けた。

和「ん。俺の診察とか…色々あるでしょ…
休み取りにくくなるから、俺のこと
気にしてるのかな…って」

雅「そういうことか。でも、違うよ。
確かに最初は、シフト制だし、比較的
急な休みも取りやすいからって、
今の仕事を選んだよ？
でも、今はこの仕事がほんとに好き。
担当してる子達が大好き。
だから、和のことは関係ない。」

和「うん。」

雅「それに翔にぃが当直の時は
今まで通り診察出来るし、日中は智にぃ
いるから大丈夫だし。そうでしょ？」

和「うん、分かった」

笑ってくれた和を見て、俺は安心した。

雅「みんな、ありがと。俺、もうちょっと
自分で考えてみるから。」

雅にぃはそういうと、パンフレットを持って
部屋に入っていった。

智「かーず、雅紀が悩んでるのは
ほんとに和のことがあるからじゃないよ？
担当してる子達が可愛いから離れるのが
寂しいんだよ。アルバムとか作って大事に
してるの、和だって知ってるだろ？」

和「うん。」

翔「じゃあ、そんな顔しないの！」

和「うん。」

翔「ほら、診察して大丈夫だったら
潤と風呂入っていいから。な？」

和「え、いいの？やったぁ。」

嬉しそうに笑った和は、素直に診察を受ける。

翔「いいよ、和。いっておいで。
あんま長く入りすぎるなよ？」

和「はーい。」

元気に風呂場に走っていった和を
追いかけて、俺も風呂場に向かった。