5人で生きてゆく…part6 (ページ39)

今日:3 hit、昨日:44 hit、合計:1,189,930 hit

289.【4】ページ39

［智にぃside］

翔と雅紀は
だいぶ疲れきった
様子でリビングの
ソファーに座った。

「結構泣いてたね…お疲れさま。」

翔「うん、まだ泣いてる。
俺らさ、潤のこと迎えに行って
買い物でもして時間潰してくるから。
和のこと頼んでいい？
俺らが帰るまでに
拘束は外してやって欲しい。」

雅「潤には見せたくないもんね。」

今日はたまたま、潤はフットサルの
練習の後、ご飯食べに行くって張り切ってた。

こんな状況見せたくないから、
丁度よかったよ…

しばらくして翔と雅紀を見送って、
俺はホットタオルを持って
和の様子を見にいった。

ベッドに横になった和は力を使い果たして
ウトウトしていた。

俺は「顔拭かせてね」とだけ声を掛けて
タオルで顔を拭いてやった。

和「…さと、にぃ、とって…」

泣きそうになりながら拘束された手を
ちょっと動かして訴える和。

「もう抜こうとしない？」

コクンと小さく頷いた和を見て、
俺はすぐに拘束を外してやった。

和「ありがと…しょ、にぃは…？」

「雅紀と一緒に潤のこと迎えに行ったよ。」

和は小さく「そっか」と呟いてから
目を閉じた。

和「…薬、飲んでない…」

「翔がチューブから入れたって言ってたよ？
気が付かなかった？」

和「ん…分かんなかった…」

和は目を閉じたまま手で俺を探り出した。

「ん？ここにいるよ？どした？」

手を握ってやったら強く握り返してきた。

和「しょ、にぃ怖かった。すごく怒ってた…
ちゃんと謝ったら許してくれるかな…」

目を瞑ったままポツポツ話し始めた和。

俺はあえて何も話さず、ただ手を握ったまま
頭を撫でた。

和にとって翔は厳しいけど、
大好きなお兄ちゃんであり先生でもある。

そして、翔と和の間には
特別な信頼関係と絆がある。

翔がこんなにも厳しくしても
和は自分が悪いと分かっているから、
きちんと受け入れている。

和「帰ってきたら、謝る…
雅にぃにも謝る…
もうしないから。って。
そしたら許してくれるかな…」

「今までと同じ、もうしないだったら
許してもらえないからね？
和は今までだって何回も、翔と約束
したでしょ？絶対にいけないって、
ダメなことだよって、翔は教えてたでしょ？」

和「…うん。もうしない…いい…？」

「そうだね。じゃあ、翔達が帰ってきたら
部屋に来てもらおうね。」

和はコクコク頷いて、また涙を流した。

「もう泣かなくていいよ。
疲れたでしょ？少し休みな…」

俺はポンポンして眠らせてやった。