254.【4】 ページ4
［翔にぃside］
仕事を終えて
帰ろうと
思っていたら
智にぃからの連絡。
外来は終わってしまっているし、
歩けているなら骨折はしていないはず。
そう思って処置室とレントゲン室だけ
確保した。
いつかの様に「やんなくていい。
帰る。」と喚く潤。
レントゲン撮るだけで、結構な時間が
かかってしまい処置室に戻って来た時には
潤はぐったりだった。
智「潤？もう隠さなくていいだろ？
翔にちゃんと診てもらおう？」
潤「いい…平気だもん。」
この状況で平気だと言える潤は
ほんとに我慢強い。
家に帰ってからも、バレない様に
普通に歩いてたみたいだし…
結構痛かったと思うんだけどな…
「潤？骨折はしてないけど
捻挫しちゃってるよ？
結構腫れちゃってるし、
ちゃんと治療した方がいいな」
話しながら頭をポンポンした俺を
見上げてくる潤。
「はい、じゃあ、治療していきまーす」
俺に不意打ちで抱き上げられ、
横にあったベッドに移された潤。
俺が準備するのをキョロキョロ見てる。
「よし、パパッと終わらせて
みんなで帰ろうね。」
潤「やだ…。包帯しない。
診なくていい。」
始めようとしたらベッドから
降りようとし始める。
「だーめ。終わったら帰ろうね…
智にぃ、後ろから抱きかかえてて
もらっていい？」
潤が体を起こしてしまったから
智にぃに後ろに座ってもらい
抱きかかえる様に固定してもらった。
左足を蹴り上げてくる潤。
「じゅーん、じっと出来ないなら
看護師さん呼んで押さえてもらうよ？」
厳しく声を掛けたらピタッと動きを止めて
俺を見つめてくる。
「どーする？言うこと聞ける？」
潤が小さく頷いた。
「よし、いいこ。笑」
俺は頭を撫でてから治療を開始した。
潤は俺が足を動かしたり、
冷やしたりする度に痛がっている。
こんな痛いのに、よく我慢してたな…
「このまま、しばらく冷やしてから
湿布して包帯巻くね。」
潤は氷でがっしり囲まれた足を、
顔を歪めて見つめる。
「痛いけど、
少ししたら感覚麻痺するから
それまで我慢ね。」
潤はゆっくり頷いた…
潤が隠したり、治療を拒むのは、
和に知られたくないから。
最初から、智にぃも俺も分かっている。
だけど、和のことより、まずは自分を
優先して欲しい…自分の体を
大事にして欲しい…
この間も伝えたつもりだったんだけどな。
もっとしっかり話さなきゃいけないのかも
しれない。
潤が病院に来てから、そんなことばっか
考えていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 564人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2012年12月30日 18時
