263.【2】 ページ13
［和side］
発作が
起きた時に、また
1人だったら…って
考えたら
にぃ達から
離れるのが
怖くなってしまった。
智「かず？一緒に待ってようね。」
「やだ…翔にぃ、行っちゃダメ…」
今日は翔にぃが当直らしく
仕事に行こうとしている。
昨日までは智にぃが居てくれれば
翔にぃがいなくても大丈夫だったのに、
今日はなぜか不安に襲われる。
翔「ごめんね、かず。
仕事行かなきゃ…智にぃ居れば大丈夫。」
「行ってらっしゃい」って言って
安心させたいのに…だけど、
こんなに不安に押しつぶされそうな
気持ちじゃ、そんなこと言えない…
「…やだ。いかないで…」
「翔にぃ…置いていかないでよ…」
口から出てくるのは、翔にぃを
困らせてしまう言葉ばっかり。
智「翔、和のことは任せて？
仕事行っておいで？」
智にぃが翔にぃを送り出してしまう…
智「あ、かず！」
俺は智にぃの手を振り払って
玄関の外まで飛び出して、
翔にぃに抱きついた。
「…だめ。行っちゃやだよ…」
気が付いたら涙が止まらなくなってて…
翔「かず…そんな、泣くな。」
翔にぃは裸足で飛び出してきた俺に
ビックリしていたけど、
しっかり抱きしめて
玄関まで連れてきてくれた。
智「ごめんね、翔。かず、おいで？」
今度は智にぃに抱きしめられる。
迷惑掛けてばっかりで、自分が嫌になる。
だけど、この不安はどうすることも
できなくて…
「…おねがい、翔にぃ。
行っちゃったらやだよ…」
俺は玄関に座り込んで、泣き叫んだ。
翔「かず…分かったから、泣くな。」
翔にぃも玄関に座って
抱きしめてくれる…
俺を落ち着かせながら、智にぃと翔にぃが
何か話している。
翔「リビング戻ろう？」
翔にぃが立たせてソファーに
座らせてくれた。
翔「ちょっと病院に電話してくるから
待っててね。」
「…だめ。」
翔にぃの服をギュッと掴む俺。
今は離れるのが怖くて仕方ない…
翔「分かった、ここにいるから。」
翔にぃは俺の隣に座って
背中をリズムよく叩きながら
病院に電話をしてくれた。
「しょ、にぃ…ごめんね。」
翔「謝らなくていいよ。
だいじょうぶ。な？」
智「よかったね、かず…」
なんで兄達は、こんなに優しいんだろう…
「こんなに困らせてるのに、
優しくしてくれなくて…いいよ…」
「もう、しらないっていって…
置いて行っていいよ…」
俺は話しながら息が出来なくなって、
智にぃと翔にぃの声が遠ざかっていくのを
感じた…
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作者名：空
| 作成日時：2012年12月30日 18時
