2942.【12】 ページ42
［雅にぃside］
医「潤くーん？
こっちもちょっと、チクッとするよー」
潤「…」
翔にぃの病院に向かいながら、ドクターカーの
中では、潤の処置が進む。
和が救急車に乗る時のように救急処置ではなくて、
すでに治療が始まっているから、やっぱり
ドクターカーは、すごいなって思う。
ある程度の治療をしてもらった潤は、眠っている
みたいに穏やかな顔になった。
和「潤…もう大丈夫だからね…」
「頑張ったね、潤…」
和と傍に座って、そっと手を握る。
ドクターカーの医師は、翔にぃに電話で潤の容態を
伝えてくれている。
病院に到着後はそのまま引継ぎ。
ストレッチャーを押しながら、治療の詳細を確認する
翔にぃの横顔がカッコいい。
翔「処置室運ぶからね」
和「…ん」
「…お願いします」
大丈夫だと分かっていても、傍を離れるのは
ちょっぴり不安。
処置室の前で顔を曇らせた和を見た先生が
「翔先生に任せれば大丈夫だよ！」って、頭を
撫でてくれた。
ドクターカーのお医者さんにも御礼を伝えて
和と一緒に処置室の前の椅子に座る。
「落ち着いてられて偉かったね」
和「…ん」
肩を抱いたら涙がポロポロと。
分かるよ…心配だもんね。
［翔にぃside］
ドクターカーに乗せてもらえてよかった。
重度の熱中症だったけど、すぐに治療を開始して
もらえたお陰で重症にならずに済んだ。
処置室に運んですぐ、声を掛けたら反応もある。
「…分かるか？」
潤「…ん」
先「苦しいとか、痛いとかある？」
潤「んーん…」
先輩が声を掛けてくれて、それに応える余裕も。
薬を調整しながら、先輩と相談。
そしたら潤が、ギュッと白衣の裾を握ってきて…
先「傍にいてやりな？不安だったんだと思うよ」
「ですね。ありがとうございます」
先輩の優しい笑顔に頷いてから、潤の手をギュッと
握る。
「ここにいるから…な？もう大丈夫」
潤「…ん、ずっと、ね…？」
「ん、ずっとな」
頭を撫でていたら安心したような顔になって
くるから…
可愛くて思わず頬に触れる。
そんな俺を見て先輩は「ふふ…」って優しい笑顔を
浮かべてくれる。
「みんなに守られてるもんな…」
潤「…ん」
「薬で少しずつ回復してくるけど、辛いの抜けるまで
もう少し時間かかるから、今日は病院に一泊な」
潤「…ん、…てね？」
「ん、いるから」
少し様子をみたいから今夜は入院。
それは先輩と相談して決めたんだ。
「傍にいるから、なんでも言ってな」
潤「…ん」
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作者名：空
| 作成日時：2018年7月3日 19時
