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［和side］
ぐったりした潤に
声を掛けても返答はない。
取り乱してしまいそうなくらい不安になるけど
「重度の熱中症ということでドクターカーが
きてくれるそうです」っていうコーチの言葉に
ホッとする。
ドクターカーのことは翔にぃから聞いたこと
あるんだ。
お医者さんを運んできてくれるから、すぐに処置を
してもらえるってことも教わっていたから。
「もうすぐラクになるからね…じゅん…」
潤「…」
雅「和と俺で傍にいるからね…」
潤「…」
数分でドクターカーは到着。
雅にぃが俺を抱き寄せてくれながら、救急隊に
潤のことを伝えて。
コーチは倒れた時の様子を含めて話してくれた。
雅「どうする？一緒に乗っていく…でいい？」
「…ん」
雅「大丈夫。ずっとこうしてるから…な？」
「…ん」
恐怖でどうしても体が震えてしまう俺。
お医者さんもいるし、看護師さんも。
なによりこれからドクターカーの中で処置が
始まると思うと恐くって…
でも、雅にぃが優しく笑い掛けて肩を抱いてくれた
から大丈夫だった。
足は震えていたけど、自分の足でドクターカーに
乗ることができたんだ。
ドクターカーには色々な種類があるって、翔にぃから
教わったことを思い出す余裕まであった。
潤のことを助けに来てくれたドクターカーは
救急車より少し大きめ。
だから雅にぃと俺も座ることができて。
救「一番近くの病院が受け入れ難しいみたいで…
ご希望ありますか？」
雅「あ、それなら…」
雅にぃが翔にぃの病院を伝えてくれた。
処置しながら搬送できるから、受け入れを断られた
時とか、こうやって希望の病院に行きたい時にも
役に立つよね。
翔にぃが教えてくれた通りだ。
それに、翔にぃ言ったんだ…
『ドクターカーは色んな意味で、患者さんを救う
役割を果たすんじゃないかな』って。
ほんとだね。
病院着いたら、翔にぃに教えてあげよっと。
雅「あんまり水分摂ってなかったのかな…」
「暑過ぎたしね…潤は頑張り過ぎるから…」
雅「そうだね…」
ドクターカーが走り出して、お医者さんが潤の
処置をしてくれてる。
俺が近付くと邪魔になってしまうから、雅にぃと
椅子に座ったまま見守る。
割と重度の熱中症みたい…
全然気にしてあげてなかったな…と。
雅にぃの膝の上でグダグダしてて、潤の姿を
あまり目で追っていなかったことが、今となっては
悔やまれる。
目を離さずに潤を見ていたら、もしかしたら
気が付けたかもしれないのに…
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作者名：空
| 作成日時：2018年7月3日 19時
