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［翔にぃside］
智にぃと和が
救出された時の話を先輩から聞く。
今は病院のベッドで眠っている2人。
2時間くらい前かな…
俺が緊急手術のヘルプに呼ばれていて不在だった時に
救急搬送されてきたらしい。
先「近くの船に整備に来た人がいて、それに
気が付いた智くんが、和くんの防犯ブザーを鳴らした
みたいなんだ。スマホとか含めて、荷物は全部車に
置きっ放しだったみたいで」
「…そうですか」
2人がどんなに苦しかったかと思うと…ね。
和は重度の熱中症。
処置は終わったけど体温は下がりきらず…
まだ意識が戻っていなくて危険な状態は脱して
いない。
智にぃも脱水症状が出ていたみたい。
今は点滴をしながら眠ってる。
少量だけど鎮静剤も入れているらしい。
『かず、かず…』って落ち着かなかったんだって。
きっと責任も感じちゃってるんだろうな…と。
雅「2人の目が覚めた時さ、俺ら笑顔でいないとね」
「ん、そうだな」
潤「和さ、船見れて嬉しかったと思うから。…だから
話も聞いてやらないと！」
俺らに向かって「ね？」って笑顔を向けてくる潤は
頼もしい。
雅紀の言うことも最もだと思う。
「…ありがとう」
先「翔くん、お兄ちゃんぽい。笑」
「くはは！お兄ちゃんですから。笑」
2人の頭をワシャワシャっと撫でていたら、先輩に
からかわれた。
［智にぃside］
翌日になっても、和の意識は戻らなかった…
翔「一緒にいこう。ね？」
「…っ、ん…」
退院の手続きを済ませてから、和のいる病室へ。
雅紀は仕事、潤は勉強をしに行っていて不在。
ベッドサイドには先生がいてくれた。
「…っ、かず…ごめ、んね…」
翔「大丈夫だよ、智にぃ。症状が改善されれば
目覚ますはずだから…ね？」
「…っ、ん…」
少しずつ体温も下がり始めて、危険な状態からは
脱しつつあると聞いているけど…
「…っ、…ん、ごめん、ね…かず…」
翔「…智にぃ…」
それでもやっぱり、責任を感じずにはいられないよ…
あの場には俺しかいなかったんだから、何としてでも
和を守ってやらなきゃいけなかったんだ。
それなのに…
「守って、やれなかっ、た…」
翔「…」
「…か、ず、暑いって、言って、て…」
翔「…ん」
「…出たいって、言って、て…」
翔「…ん」
「…辛くて、苦しそう、だった…」
翔「…ん」
「でも、俺のこと、心配してくれ、て…
『大丈夫？』って、言ってくれたんだ…」
翔「そっか…そうだったんだね…」
「…ん」
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作者名：空
| 作成日時：2018年7月3日 19時
