2914.【3】 ページ14
［和side］
潤が俺のこと
守ってくれたんだ。
手術の最中は『俺のせいだ…』って思って
泣いてばかりいたけど…
ピッピッピッピッ…
手術後に昏睡状態に陥っている潤を前にして、
俺がそれじゃいけないんだって思った。
だから「潤のお陰で俺は元気だよ」って沢山伝えて
できる限り傍にいようって決めたんだ。
翔「血圧も安定してるし、苦しくはないはずだよ」
「そっか、よかった…」
翔「和は？大丈夫…？」
「ん、元気。潤のお陰」
翔「ん、だな！」
翔にぃは俺の首筋に手を当てて確認した後、
クシャクシャっと頭を撫でてくれる。
その優しさに心がホッとするのが分かる…
「潤はさ、カッコ良すぎだよね…ずるいよ…」
翔「…ん？」
「俺だってさ、潤のこと守りたいよ。潤には元気で
いて欲しいって思う…」
翔「…ん」
急に喋り出した俺に、一瞬戸惑った翔にぃだけど
すぐに肩を抱いてくれて、話を聞いてくれる…
「なのに守られるのはいつも俺ばっかり。潤は俺より
いつだってカッコ良すぎる…」
翔「…ん」
もう泣かないって決めたのに、悔しさで心が
いっぱいになったら、また涙が零れそうになる。
そんな俺の気持ち、翔にぃは分かってくれていて
肩の辺りを優しくさすって「はは！」って小さく
笑ってから…
「そうやってお互い同じように思いやれるの
ほんと…お前らの良いところだよな」って。
翔「潤が自分のことを犠牲にしてまで、和のことを
守ろうとするのは、それだけ和のことが大事だから」
「…ん。でも、俺だって…」
翔「同じ気持ちだろ？」
「…ん」
翔「お互いにそう思えるのはすごい。お互いに
相手にそう思わせるのもすごい」
「…」
すぐには意味が分からなかった。
でも翔にぃは、今度は潤の頬に優しく手を添えて
「潤はさ、大好きなお兄ちゃんだから、守りたい
んだよな…？」って問い掛ける。
翔「潤にとって、和はそういう存在。弟にそんな風に
思ってもらえるのは、和の日頃の行いが良いから
なんじゃねーの？」
「…ん、…んふふ」
そっか、そういうこと…
逆に潤にも同じことが言えるけどね。笑
だって俺、潤のこと大好きだもん。
潤の為なら…って思える。
「…少しだけ、いい？」
翔「ん、いいよ。狭いから気を付けてな」
「…ん」
潤のベッドに寝かせてもらう。
体をピッタリ寄せたら、感じる潤の温もり。
ピッピッピッピッ…
意識はないけれど、しっかり温かい。
大丈夫、生きてるもん。
待つからね、潤のこと…
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作者名：空
| 作成日時：2018年7月3日 19時
