2912.【和を守りたい潤】 ページ12
［潤side］
フットサルの帰り道。
河原沿いの歩道を、和と並んで歩く。
グラウンドでのフットサルは暑かったけど、
和も参加できたし、楽しかった。
暑い日に運動して汗をかくのは気持ちがいい。
個人的には結構好き。
翔にぃには「水分補給！」って耳にタコが
できるくらい言われてるけどね。笑
でも熱中症ってほんと怖いし、俺らを守る為だって
分かってるから、もちろんちゃんと水分補給してる。
和「お昼ご飯なにかなー？」
「なんだろーね。腹減ったなー」
和「ねー」
たわいない話をしながら歩いていたら、前からきた
車が突然クラクションを鳴らして。
ビックリして後ろを見たら、対向車がセンター
ラインを越えていた。
そのまま直進してくる。
俺らの前からきた車が、その車を避けようとして
ハンドルを切ったのが、一瞬だけど分かった。
マジか…
「和っ…」
和「うわっ…」
キキーッ…ガンッ…
ガードレールに少し触れた車は、俺らの方に
突っ込んできたんだと思う。
一瞬の出来事だった。
だけど、和のことをどうにかしなきゃって思って。
和の正面に回り込んだんだ。
先にガードレールに接触したことで、車のスピードは
少し落ちていたんだろう。
不幸中の幸いなのかな…
車が背中にぶつかった感覚があって、俺の記憶は
一瞬だけ飛んだけど…
「…っ…」
道路に倒れる時のことは覚えてる。
「…和！！」
和は仰向けに倒れて意識がなくて。
その上に被さるように俺。
「…っ、頭、打った…？」
慌てて和の後頭部を確認したけど、出血はしていない
みたい。
和のことに必死になり過ぎて、背中の痛みなんて
忘れて、救急車に乗り込んだ。
病院では翔にぃが待っていてくれて…
翔「潤、怪我は？」
「ここ、擦り傷だけ」
翔「そっか、よかった…」
ギュッと抱きしめてもらう。
救急車の中で、和の怪我を確認していたけど
軽傷らしい。
フットサルのバッグが、ちょうどクッションになって
和は頭を打たずに済んだんだろうって。
念の為に検査にまわされた和だけど、1時間も
しないうちに意識が戻って「もう帰ろ…？」って
連呼してる。笑
ホッとしたら、背中に感じ始めた痛み。
そういえば、車と接触してるんだな…って。
でも歩けてるし。
ここで俺が「背中が痛い」なんて言い出したら、
家に帰るのが遅くなって、和が可哀想だし。
感じる痛みを隠して、和と手を繋いで病院を出る。
俺が守りたいのはいつだって和だから、これで
満足なんだ。
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作者名：空
| 作成日時：2018年7月3日 19時
