2895.【睡眠薬乱用→昏睡状態】 ページ45
［和side］
ん、んん…
「…っ！まただ…」
昨日も同じ夢を見た。
ボヤッとしていて分からないけど、なんか恐い。
誰かに腕を掴まれた感覚が、起きた後も残ってる…
スマホを確認したら0時過ぎ。
まだにぃ達が起きているかもしれない。
一緒に寝てもらおうかな…
そんな期待をしながら階段を降りていたら、
聞こえてきたにぃ達の会話。
翔「智にぃ明日朝から出掛けるんだよね？」
智「ん、9時過ぎには出たい。帰宅は17時くらい」
翔「りょーかい。調子良さそうだから大丈夫だとは
思うけど、念の為決めておこう」
智「ん、ありがとう」
雅「俺が、午後休とって帰ってこようか？」
翔「いい？午後から外来だから助かる。
じゃあ、俺は午前中で」
智「平気？」
翔雅「ん、大丈夫。調整する」
明日は、いつも在宅の智にぃが仕事で家を空けるから
万が一、俺の体調が悪かった時にどうするか…って
決めてるみたい。
緊急の時は何とでもしてくれるけど、事前に
決められる時はこうして決めてくれてる。
それは前から知っていた。
特に今ね、にぃ達3人とも忙しいんだ…
それを思い出して、慌てて部屋に戻った。
きっと今相談したら3人とも寝不足になってしまうし
明日の予定も狂ってしまうかもしれない。
俺にできることは、いつも通りに眠ること。
簡単だよ、ね…
大丈夫、眠れる。
自分に言い聞かせながら目を閉じる。
これで俺が寝不足になったら、忙しいにぃ達の
負担になっちゃうもん…
眠ろう、眠ろうと思って目を閉じてるのに、
ドキドキして、恐くてなかなか眠れない。
それでも、ウトウトしながら何とか朝まで一人で
頑張ることができた。
体調も悪くならなくて、学校にも行けて一安心。
でも、心配なのは夜のこと。
今夜は眠れるのかな…と。
「少しくらい…いいよね…」
恐さが勝って眠れなくて、手を出してしまったのは
市販薬の睡眠導入剤。
始めはほんとに少しだけ…
だけど数日後、気が付いた時には服用量を超えて
飲み込んでいた。
こんなにいっぱい飲んだら叱られちゃうかな…
ゆっくり寝られるから、いいかな…
ふわん…とした思考の中で色々と考えて
頭の中に浮かんできたのは、にぃ達と潤の顔。
んふふ…
また明日、ね…
大好きな人達の顔が浮かんできて、安心。
あらし…明日も、散歩行こう、ね…
薬の大量服用のせいで、自分が昏睡状態に陥って
しまうとは思わずに。
ゆっくり、ゆっくり…
俺は眠りの中に落ちていった。
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作者名：空
| 作成日時：2018年4月10日 17時
