2892.【3】 ページ42
［智にぃside］
ほんっと和は、
意地っ張りのへそ曲がり。笑
俺も翔と同じで「またいつもの…」って判断した。
優しく握っていた手を離そうとすれば「やだ…」
って握ろうとしてくるから「翔とちゃんとに話が
できないなら駄目」って伝えて。
そしたらさ、途端に目が潤み出す…
和「…ちょっと、なの…」
翔「ちょっとだったらいいの？」
和「…」
翔「和の体はさ…」
和「…っ」
翔「少しの体調不良でも気を付けないといけないこと
あるよな？」
和「…」
翔が『和の体は』って言った時、和はピクッと眉毛を
動かした。
その一言が嫌だったのだと、俺も翔も推測できる。
でも、和がその後も黙りだったから、特にフォローは
しなかったんだ…
翔「次からはちゃんと教えて。ちょっとでも駄目。
なにか理由があっても駄目。…分かった？」
和「…ん」
もうね、完全に不貞腐れてる。笑
でも返事はしてくれたから、翔と頷き合って良しと
した。
和室に布団を敷いて寝かせてやり、体調が良くなる
まで少しのんびりしよう。
いつもはそれで解決だった。
だけど和は、体調不良を翔に隠す以前から
ストレスを溜め込んでいたから…
そこに重なった説教。
そして『和の体はさ』って言葉。
元気な時ならなんともない言葉なのに…
［和side］
翔にぃのなんてことない言葉に、ドクン…と胸が
音を立てたのが分かった。
傷付いたんだ…
気にしてるんだ…
そう自覚したのは、和室の布団に寝転んでから
すぐのことで。
そこからはもう、気持ちがすごいスピードで
落ちていくのが分かった。
大好きなはずなのに、にぃ達とも潤とも、何も
喋りたくない。
結果的に、俺が一方的に無視をしているような状況に
なってしまう。
潤が持ってきてくれたメロンパンには手を付けず
自分でパンを焼きにいく。
潤は一瞬シュン…としたけど「メロンパンの気分じゃ
ない日だってあるよな、ごめんな？」って
謝ってくれて。
それなのに俺はそれを無視。
雅「気温低いから、ホットにしてみたけど飲む？」
「…」
雅にぃが入れてくれたホットココアのマグカップも
黙って押し返す。
雅「そっか、いらないよね。ごめんね」
「…」
なんて答えればいいか分からないんだ…
誰とも関わりたくない。
それはきっと、これ以上傷付くのが恐いから…
俺のそんな自分勝手な思いで、俺は大事な兄弟を
傷付けた。
自分を守ることしか考えていない、考えられない。
最低だ…
こんな自分嫌い。
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作者名：空
| 作成日時：2018年4月10日 17時
