2891.【2】 ページ41
［雅にぃside］
和が精神的に追い込まれ
さらに体調不良を隠しているなんて、思っても
いなかった。
ガタンッ…
夕食の片付けをしようとして立ち上がった和が
一瞬よろめいて、椅子に手を付いて…
智「…かず！」
和「へへっ…ごめん」
本人は笑って誤魔化そうとしたけれど「心配だから
こっちきて？」って、智にぃに支えられて
ソファーへ。
そのまま「ちょっと診てやって？」って頼まれて、
和の傍に座った。
和「ちょっとフラッとしただけ…」
「貧血っぽい感じ？」
和「分かんない…でも、もう大丈夫」
何を聞いても「大丈夫」って言い張るけど、顔色は
悪いし、指先も冷たい。
「他に辛いところは？」
和「…ないよ」
なんだか今日は、これ以上追求しても意味がない
気がして…
「…ちょっと休んでてね」
和「…ん」
ソファーに寝かせてブランケットを掛けて、智にぃの
ところへ。
「ちょっと様子見かな…」って話していたら…
翔「ただいま帰りましたー！」
数日振りに翔にぃが早く帰宅した。
智にぃと顔を見合わせて「丁度いいね」って、
頷き合う。
翔「ただーいまー、…あれ？和、具合悪い？」
「さっきちょっとフラついて…本人はもう平気だって
言ってるけど…」
苦笑いの俺らを見て察したのか、翔にぃは
「そっか。着替えたら診てみるわ」って。
あまり追求せずに自室にいった。
［翔にぃside］
「どんな感じ…？」
和「…もう、平気」
なんとなく素っ気ない感じの和。
そっと頭に触れながらソファーの下に座って
「ちょっと診せて？」って聴診器を当てる。
心臓は忙しなくドキドキ動いてる…
「…かず？」
和「…なに」
「…なんか隠してるだろ」
和「…なんも、ないもん」
もうね、長年の付き合いだもん。
心臓の音もそうだし、顔を見ればだいたい分かる。笑
「ずっと前からだろ…なんで言わないの？」
和「…違うもん」
唇尖らせて、拗ねてそっぽ向きながらも「さとにぃ、
きて欲しい」って。
もちろん智にぃは、俺が手招きしたらすぐに傍に
きて、和の手を握ってくれる。
これなら、少しくらい厳しくしても大丈夫。笑
「かず。体調悪い時は教えてっていつも言ってるよ」
和「…知ってる」
「じゃあ、どうして言わないの？」
和「…」
そっぽを向き続ける和の顔を捕まえて「黙りは通用
しないよ」って厳しめの声を出せば…
「…ちょっと、だもん…」
また言い訳。笑
いつものへそ曲がりだと判断した俺は、説教を
続けることにした。
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作者名：空
| 作成日時：2018年4月10日 17時
