2876.【頑張り過ぎな三男】 ページ26
［智にぃside］
翔「あいつ、ちょっと
頑張り過ぎじゃない？」
「ん、そうだね…」
翔「ストップかけるか…」
「そうだね、そうしよう」
ここんとこ雅紀が頑張り過ぎ。
夜も遅くまで部屋で仕事してるし、朝も早い。
睡眠時間は確実に足りてない。
翔と相談して「体調崩す前にストップかけよう」って
ことになったんだけど…
雅「大丈夫。この企画、今月には終わるから」
「じゃあさ、とりあえず睡眠時間は確保してよ…」
翔「あと、少しでも体調悪くなったら教えて」
雅「ん、分かった。約束する」
まだ体調が悪いわけじゃないから、甘くみてた。
それに雅紀は、こう見てえも体が割と弱くて…でも
そのことに本人が一番コンプレックスを感じて
いるのを知っていたから。
翔も俺もあんまり強くは言えなかったんだ。
雅紀が仕事を楽しんでいることは伝わってきて
いたしね。
でも、数日後…
翔「雅紀、熱あるだろ？」
雅「ないよ！ない！」
翔「なら、計って見せて」
雅「やだよ！大袈裟だなぁ…」
真剣に詰め寄る翔と、何とかしてはぐらかしたい
雅紀が朝からバトル。
翔「雅紀。診るから座って」
雅「無理！時間ないし」
翔「こーら！」
雅「大丈夫だって言ってるでしょ〜」
翔に腕を掴まれそうになって、慌てて自室に
駆け込んでいった雅紀。
出勤の時間になってバタバタと逃げるように
出ていった。
翔「まったく…」
「帰ってきたら、俺からも話してみるよ」
翔「ん、ありがと…お願い」
翔の話では、今朝の雅紀は確実に熱があった…と。
でも俺や翔が「休め」って仕事にストップを
かけることで雅紀も意地になってしまって。
雅「大丈夫だって。ないもん、ほら！」
「今は下がってるだけなんじゃないの？」
雅「朝からなかった！」
帰宅後に体温を計らせてみたけれど熱はなくって。
「大丈夫」「心配し過ぎ」って言いながら
自室にいってしまった。
数日経ってもそんな感じで、俺らの言葉には
耳を貸そうとしない。
翔が「約束しただろ？」って話をしたけど、
「だから体調が悪くなった時は言うよ？」って
サラッと。
嘘つきやがって。
「ストップかけるのも難しいね…大丈夫かな？」
翔「あいつなかなか頑固だな…」
顔色も悪くて、体調が悪そうな日もあったけど
寝不足からくる不調くらいに思っていた俺ら。
あんなことになるのなら、もっと全力で雅紀のことを
止めたのに…
今となっては、この時の自分の考えの甘さが
悔やまれる。
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作者名：空
| 作成日時：2018年4月10日 17時
