2867.【喋れない末っ子】 ページ17
［智にぃside］
潤はしっかり自分を
もっているし、自己主張もする。
それを時に、第三者からは『我が強い』とか
『自分勝手』などと思われてしまうことがある。
自分の意見も伝えるけれど、相手の意見だって
ちゃんと聞ける。
我儘で言っているだけじゃない。
自分の思い通りにしたくて、言っているわけじゃ
ない。
今までも、幾度となく勘違いされてきた。
でも、仲良くなれば解決できる問題だった。
だって潤の強めの言動は、何でも一生懸命に
やりたい思いからきているものだから。
それを相手が分かってくれさえすれば、誰とでも
上手く付き合える。
だから今まで、そんなに大きなトラブルはなく
やってこれたんだ…
もちろん、傷つくことは多々あったと思うけど。
それは潤に限ったことではないし。
でも、潤は見かけによらず繊細なところがあるから…
潤「…っ、んっ…、んくっ…先輩、が…」
翔「ん、先輩がどうした？」
潤「…っ、んっ…しゃべん、なって…」
連休中に特別編成で組まれたフットサルのチーム。
どうやら潤が最年少で、多くは20歳超えの大学生達
だったみたいで。
初日の試合から戻ってきてから、潤の様子が
おかしくて、みんなで気にしてて。
そしたら3日目になって「もう行きたくない」って
玄関で突然泣き出したんだ…
だからこうしてリビングで、みんなで理由を
聞いてみてるってわけ。
雅紀と和は気遣ってカウンターにいてくれてるから、
翔と俺で両側から挟んで座って背中をさすってる。
潤「…っ、んっ…んくっ…ん…」
「そっか、そっか…悲しかったね…」
知らない人たちとのチーム編成。
ただでさえ緊張していたと思う。
さらにそこで『喋るな』と言われてしまったんだと…
しかも歳上の人たちに。
潤は「…こわかった」って何度も繰り返した。
傷付いたのと恐かったのと…
潤「…っ、んっ…んくっ…んっ…」
「もう行かなくていいから…」
行かないことで解決できるとは思わないけど…
でも翔も頷いてくれたから、とりあえずはこれで
いいんだと思って。
まずは、傷付いた潤の心を助けてあげるのが
先だもんね。
潤「…っ、んっ…んくっ…んっ…」
翔「大丈夫だよ、潤。もう泣くな…」
潤「…っん、んくっ…」
いつまでも泣き止まない潤を見兼ねて、和がトコトコ
寄ってきて「そんなこと言うなんて、酷いね」って
言いながら、潤の頭を撫でてくれた。
和の素直な反応と言葉、可愛いと思う。笑
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作者名：空
| 作成日時：2018年4月10日 17時
