2864.【3】 ページ14
［翔にぃside］
処置室に運ばれた雅紀は
結構な重症。
CTなど撮らなくても、気胸だと分かってしまう。
この状態で意識あるのが不思議なくらいで…
雅「…っ、ん…ごめ、…なさ、い」
「大丈夫だから…辛いだろ？目、閉じてな…」
うわ言みたいに謝ってくるから、目の上に手をのせて
少し休ませてやる。
点滴から痛み止めと鎮静剤も入れてもらった。
結構前から、胸の痛みはあったんだろうな…と。
それを隠し通してでも、やりたい何かがあったん
だろうか。
この時の俺は、まだ智にぃと話が出来ていなかった
から何も知らなかった。
医「よく我慢してたな…」
「ほんとですね…」
CT検査の結果はやはり肺気胸で。
医「とりあえず抜いて、その後に雅紀くんにも
きちんと話をして手術でいいかな…」
「そうですね。これだと手術は免れませんよね…」
医「ん、厳しいね」
研修医時代にお世話になった先生が一緒に診てくれる
みたいで一安心。
相談しながら進めていけそうだ。
とりあえず脱気して、少しでもラクにしてやらないと
話も出来ないだろうということで…
「…まさ？痛かったら教えてな」
雅「…ん」
半分夢の中みたいな状態の雅紀に声を掛けて、
先生に脱気の処置を進めてもらう。
「ここ、漏れた空気が溜まってるから抜くからな？」
雅「…ん」
意識朦朧としてても、何をされるのかは少しでも
把握させてやらないとと思って、雅紀の胸を
トントンとしながら声を掛けてみる。
微かに頷いてくれたのを確認して、先生に合図する。
処置は先生に任せて、俺は雅紀のそばで手を握って
声を掛けることに専念する。
雅「…ん、んん…」
「麻酔の注射してるから…ちょっと痛いな…」
雅「ん…んん…」
胸の痛みと苦しさに比べたら、脱気の処置は
我慢できる程度だと思うけど、それでもやっぱり
痛みと不快感があるみたいで…
雅「…っ、ん…んん…」
目を閉じたまま、唸ってる…
「がんばれ…もう少し」
雅「んん…」
医「雅紀くん？一番辛いところは、もう終わったから
大丈夫だよー」
先生も声を掛けてくれて、脱気の処置は無事に
終わり。
医「一旦、病室で様子見だね。タイミングみて
翔くんから話してあげて？」
「はい、ありがとうございます…」
みんなが心配して待っているからね。
病室に連れていって、そこでみんなに説明して…
「そっか…そうだったんだ」
雅紀の職場の人からも話を聞かせてもらった。
頑張ったんだね、雅紀…
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作者名：空
| 作成日時：2018年4月10日 17時
