2790.【2】 ページ40
［潤side］
和はここ最近、
ちょっと情緒不安定。
何もかもが上手くいかなくて、長引く入院に
突然くる発作。
精神的に、かなり参っているのは分かってた…
だからこそ、少しでも元気になって欲しくて、
「新しい攻略本があったら欲しいな」って和の
言葉にすぐのってしまったんだ。
「売店、みてきてやるな？」
和「ほんと？ありがと…じゅん」
ほとんど手を付けなかった夕食のトレーを廊下の
ワゴンに返して、そのまま売店へ。
俺は張り切って向かった。
智にぃは家に着替えを取りに戻っていて、雅にぃは
20時まで残業だって言ってた。
翔にぃは先生と、和の治療についての打ち合わせが
あるみたいで不在で。
翔にぃに「和のこと頼むな！」って言われたんだ。
それなのに俺は和を一人、病室に残してしまった。
今思うと、一人にするなんてバカだな…と思う。
でもこの時は、まさか和が脱走を試みるなんて
考えてもいなかったから…
だって和は、続いた体調不良のせいで歩くのも
ままならないくらい弱っていて。
激しく泣いたりすれば、すぐに発作を誘発して
しまう程、危うい状況で。
だから、だからさ…
「…っ！かず！かず！！」
空っぽになったベッドを見て驚きしかない。
バサッ…
買ってきたゲームの攻略本が音を立てて落ちて…
抜かれた点滴を見て、気持ちだけが焦るけど、
ナースコールを押して、それから智にぃに
電話をして状況を伝えるところまでは頑張った。
［先輩side］
潤くんは酷く取り乱していて「俺がこんなの買いに
いってたからだ…」って泣いて。
そんな潤くんを、翔くんはしっかりと腕の中に
おさめて「和のためにと思ってやってくれた
ことなんだろ？」って宥める。
潤「…っ、んくっ…んっ、んっ…かずっ…」
翔「心配だもんな、一緒に探そう」
目を離してから30分くらいしか経っていないという
潤くんの情報。
翔「院内の可能性もありますね…」
「そうだな」
潤くんを一人にするのは心配だからと、翔くんは
手を引いて院内を中心に探すことに。
俺は病院の外を中心に…
しばらくしたら智くんから「病院に戻りました」
って連絡がきたから、合流して一緒に捜索。
「あの体力じゃ、来れたとしてもここまでだな…」
智「早く見つけてやらなきゃ…」
病院から少し離れた公園。
日が落ちてからは、ほとんど人通りもないような
場所だ…
智「…っ、かず？」
「かずくん！」
木の陰に倒れた人影…
智くんと慌てて駆け寄る。
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作者名：空
| 作成日時：2017年11月17日 22時
