5人で生きてゆく…part56 (ページ23)

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2773.【翔にぃの彼女】ページ23

［翔にぃside］

和と潤にはまだ話して
ないことがある。

それは、双子が懐いている看護師の薫さんと、俺が
付き合っているっていうこと。

なんか言い出しにくくって、ダラダラと先延ばしに
してたら、余計に言い出しにくくなって…

「あれ、今日の和の検査って…」

薫「私入りますよ」

「マジか…笑」

薫「んふふ…」

薫は「久しぶりに和くん達にも会いたいし」って
いつもの穏やかな笑みを浮かべる。

こういう時ね、困るわけ。笑

「一度きちんと紹介すべきだよな…」

薫「んふふ…いつでもどうぞ。笑」

薫はすごいよなぁ…と思う。

物怖じとかしてるところ見たことない。

でもだからって、自信家ってわけでもない。

特別な芯の強さというか、全てを受け入れる大きな
心というか…なんかね。笑

和の担当看護師ではないのに、俺と付き合う前から
「翔先生の弟さん達可愛い」って、いつも言って
くれていて。

脱走した和を捕まえてくれたこともしばしば。笑

和との出会いはきっとそんな感じだったはず。

今となっては「薫ちゃん！」って寄って行く程に
懐いているけれど、当時は「離せや！」「触んな」
って酷い言葉をぶつけることもあって。

でも、そこでも薫は和を特別扱いすることなく
「駄目です、離しません」って、闘ってた。笑

「脱走しなきゃいけない理由があるなら、翔先生に
きちんと話しなさい」って叱ってる姿を見たことも
ある。

和を叱れるのって、病院内では俺か先輩くらい
だからね。

俺にとっても衝撃的だった。笑

患者には平等に接するって感じの態度が、和は
気に入ったんだと思う。

いつの間にか自然に懐いてた。

薫「なに思い出してるの。笑」

「あ、つい。笑」

「先に準備しておきますね～」って出ていく薫の
背中をじっと見つめる…

俺にとって大事な人だから、兄弟達にきちんと
紹介しないといけないんだなって。

いや、紹介したいなって…

仕事そっちのけで『いつがいいかな～』なんて
考えていたら智にぃから「病院着いたよ～」って
LINEが。

よし、切り換えて仕事しよう。笑

「いらっしゃ～い」

和「んふふ…」

「ちゃんと来れてエライな」って頭を撫でたら
「病院くらい来れます～」って。

どの口が言うか！ってね。笑

情緒が安定しているうえに、簡単な診察と
エコーだけだから、大丈夫みたい。

一緒に診察室に入って薫の姿を見つけたら「あー、
薫ちゃんだ！」って飛びついていった。

ここまで懐いてもらえるって、すげーや。