2736.【5】 ページ36
［雅にぃside］
「少し、だけ…」
翔「ん、無理しなくていいから」
あんなに楽しみだったのに、いざ動物達に会うと
なると恐怖で足が竦んでしまう…
翔にぃに支えてもらいながら、担当のうさぎ達に
会いにきた。
「…っ、責任、放棄して、ごめ…ね…？」
腕の中におさまってくる温かい愛おしい存在。
ちゃんと仕事をしたい。
でも、恐怖心に負けてしまう。
カウンセラーには「恐くない動物と関わって
いくだけで十分だよ」って言われたけれど。
やっぱりどうしても焦ってしまうよね。
数日後に智にぃと翔にぃと職場に来たんだけど…
「マリオのとこ、行きた、い…」
智「焦らなくていいんだよ？」
「大丈夫…行きたい、の…」
恐くて堪らないのに、大好きな動物に触れない
自分が受け入れられなくて…
「…っ、ん…」
翔「やめておこう…」
「…や、だ…」
ヤギの影が見える辺りから、もう心臓がバクバク。
近付くと涙も溢れてきちゃって…
「…っ、ん…、こ、わ…」
本音がこぼれる。
担当の動物が恐いなんて最低…
智「見てるだけにしよう」
翔「俺らいたら恐くないだろ？」
「…っ、んくっ…ん、ん…」
ヤギ達が見えるところに、智にぃと翔にぃに
挟まれて座る。
しばらくしたら同僚達が2.3人やってきて、
マリオの世話をしてくれる。
ブラッシングに小屋の掃除。
後で知ることなんだけど、翔にぃが頼んでくれた
らしいんだ。
『雅紀が見ているところで世話をして欲しい』
って。
「…嬉しそう」
智「んふふ…ほんとだね」
ブラッシングをしてもらって目を細めるマリオ。
あの表情、すごく好きだったなって思い出した。
同僚達がマリオに話し掛ける声。
時折、それに応えるように鳴くマリオ。
そのどれもが心地良くって…
智にぃと翔にぃが傍にいてくれたのもあって
恐さがなくなってた。
もちろん、触ることは出来なかったけど…
翔「まさ？これ一緒に観よう」
「新しいの届いた？」
パソコンの画面には俺が担当する動物たち。
世話してるとこ、散歩に行くとこ、移動動物園で
お客さんと関わってるとこ。
色んな場面が毎日動画で送られてくる。
カウンセリングに専念して、行ける時は職場に
顔を出して。
他の時間はこうして家で動画を見て、恐怖心を
少しずつ軽減させる。
翔にぃが色々調べて考えてくれたんだって。
「んふ…可愛い」
翔「俺らいるから…」
「ん、ありがとう…」
また大好きな仕事が出来るように、頑張るね。
END
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3078人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2017年10月3日 22時
