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［ストーカーside］
可愛い顔をした男の子。
名前を『かず』だと知ったのは、尾行を始めて
間もない頃。
高校の制服を着ている姿を見たから、高校生だと
分かったけれど、私服姿だけ見ていたら
とても高校生には見えない。
男の子は、顔立ちが女の子より幼いというけれど
かずくんは特別。
他の子とは比べ物にならないくらい幼い顔立ちで
可愛らしい顔。
ニット帽を被って河原を歩いている姿を見た時
なんて、思考が止まりそうだった。
『なんて可愛いんだ…』って。
家に一人になったところを狙うつもりで、何度か
尾行した。
だけど、失敗。
かずくんは見かけの幼さからは感じられない程
敏感で、思考が鋭い。
思ったよりずっと早く『後をつけられている』って
感じとられてしまった。
このまま尾行を続ければ見つかってしまう可能性が
高い。
だけど、なかなか諦めがつかない。
かずくんと話がしてみたい。
だってあんなに可愛い子…
みんなに守られているとはいえ、一人になる瞬間は
きっとある。
そう信じて尾行を続けていたら…
校門をとぼとぼと歩いてきたかずくんは一人。
最近、いつも一緒だった男の子はいない。
チャンスだ…
そう思って人目につかない所まで尾行を続ける
ことにした。
帰り道の公園。
ここなら話し掛けるくらいなら大丈夫だろう。
そう思って距離を詰めようと思った時…
『かず！！』
いつもの男の子が叫びながら走ってきた。
このままじゃこの子は、俺のものにはならない…
だったらいっそのこと、誰のものにもなるな！
そう思った俺は、かずくんに向かって思いっきり
走って、その小さな体を突き飛ばした。
［潤side］
和がストーカー行為に怯えるようになってから
登下校は一緒にした。
だけど数日経っても何も起こらなくて、和自身も
少しホッとしていたし、俺も気が緩んでたんだ。
「担任のとこ用事あるから下駄箱で待ってて」って
言ったのに「ふふ…大丈夫だよ。先に歩いてる」
って和。
数日前だったら「駄目だよ。絶対待ってろ！」
って強く言ったんだろうけど…
「平気だよ〜」って笑顔の和に『いつもの道
通れよ？すぐ追いかけるから』って言って
しまった。
だけど校門を出たところで胸騒ぎがして
ものすごい後悔に襲われて…
早歩きで和のことを追いかけた。
黒のパーカーにフードを被った人が、和の後ろを
不自然な動きでくっ付いて歩いてる…
関係ない人かもしれない…と思いつつも、心臓が
ドキッと音を立てた。
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作者名：空
| 作成日時：2017年10月3日 22時
